ユーザーに走る歓びを提供する、ディーゼルの力──BMW

左 : M3 M , 右 : クーペスタイルのX4 M

クロスオーバー戦線はライフスタイルに寄り添う方向へ進む。人気のSUVはステイタス(所有欲)を満足させるラグジュアリー追求型から、レーストラックで比類ないタイムを叩き出すもの、居住性の高さを生かしたモダンリビング志向の車種まで。メーカーにとっての販売戦線の最前線だけに、完成度が高まるスピードも速い。


BMW X3, X3 M40D, X3 M

ブランドに”使命”があるとしたら。それはユーザーの期待に応えてくれることではないだろうか。
 
BMWはSUV(クロスオーバー)の分野でも、強い存在感を発揮している。ディーゼルとは思えないほどスムーズでパワフルなエンジンを搭載した大型SUVのX7。そしてもうひとつは、X3。SUVがここまでスポーティに仕上がるのかと感心させられる。
 
BMWは、どんな分野のクルマを手がけても、操縦を楽しめるように仕立てることを、ブランド価値としてきた。
 
SUVでは、2004年に初代X3を発売して以来、幅の広い布陣を敷いてきたのがBMWである。心情的にはスポーツカーに乗りたいけれど、それにはいくつものハードルがある、そんなひとにこそX3を勧めたい。とくに、長距離移動が多いなら、X3の中で最上位グレードで、サーキット走行も可能な、究極のスポーツディーゼルモデルとでも呼びたくなるX3 M40dがいい。
 
全長4,725mmの車体は取り回しがよく、同時に後席空間にも余裕のあるサイズだ。4WDシステムと組み合わされた2,992cc直列6気筒ディーゼル・ツインターボエンジンは、基本はさきに触れたX7などと同じだが、チューンナップされ、240kW(326馬力)の最高出力を発生。
 
なにより680Nmもの最大トルクを1,750rpmから発生するので、加速の俊敏さは想像を上回る。
 
同じX3の名を冠しながらサーキット走行に特化して開発された、MモデルのシリーズにおけるSUVもまた、実に興味深い。
 
なかでもX3 MはSUVがどれだけスポーツカーに近づけるかを具現化した、BMWのスポーツコンセプトの結晶だ。
 
このように様々なモデルがありながら、すべては走りを追求したクルマに仕上げてくるあたりが、なんともBMWらしく、ユーザーの期待を裏切らないところなのだ。

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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