贅沢を楽しむ、独特の味わいをもたらす一台──マセラティ

MASERATI Levant

クロスオーバー戦線はライフスタイルに寄り添う方向へ進む。人気のSUVはステイタス(所有欲)を満足させるラグジュアリー追求型から、レーストラックで比類ないタイムを叩き出すもの、居住性の高さを生かしたモダンリビング志向の車種まで。メーカーにとっての販売戦線の最前線だけに、完成度が高まるスピードも速い。


MASERATI Levant

クロスオーバーというのは、異なる要素を交差させるようにつくりあげたもの。フュージョンだと混ざりあってしまうのに対して、クルマだと、たとえばスポーツカーの要素と、SUVの要素が両立しているモデルを指す。マセラティのレヴァンテが好例だろう。

2016年に発表されたときは、スポーティーな高級車メーカーであるマセラティが、と話題になったのが記憶に新しい。スタイリングはクーペ的(これもクロスオーバー)な流麗さ。内装はクワトロポルテのような高級セダンに通じる贅沢な素材を使い、スポーツカー的な機能性を念頭にデザインされている。

マセラティも、ブランドへ期待されるものを的確に把握しているクルマづくりが得意なのだ。

当然スポーティーな操縦性も重要な価値で、登場のときからダイレクトで、かつ反応のいいハンドリングが魅力だった。パワープラントの多様性も魅力で、トップモデルのトロフェオは3799ccV型8気筒ツインターボエンジンを搭載して580CV(イタリア式馬力表示で434kWに相当)の高出力を誇る。2018年には同じエンジンだが乗りやすさを意識した530CV(405kW)のGTSも追加されている。

フェラーリの工場で組み立てているこれらのV8に加えて、2979ccV6のSとその名もたんなるレヴァンテ、そして2987ccV6ディーゼルターボモデルもラインナップされているのだ。

マセラティは遠くない将来、新型SUVを発表するという噂もあり、ファンの期待が高まっている。ただそれが、レヴァンテを買い控える理由にはならないと思う。

ぜいたくな内装に身を置き、大排気量エンジンのゆたかなトルク(トロフェオだと730Nmもある)を味わうのは、効率にばかりとらわれない、このクルマならではの楽しみといえるからだ。ドイツや日本のクルマと違うイタリア流の味わいは、いまだからこそ旬なのだ。

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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