航空業界では大手企業の破産などの危機も迫っている。ここでは旅行関連を襲うダメージの深刻さを示す、6つの数字を明らかにしたい。
旅行業界で800万人が失業
オックスフォード・エコノミクスは4月の末までに、米国の旅行業界では800万件の雇用が失われると試算した。米国で一時的な失業給付金を申請した人々の数は既に2000万人を超えている。中でも小売やレジャー、ホスピタリティ関連が被った打撃は大きく、今後さらなる雇用が失われる見通しだ。
ホテル業界で400万人が失業
米国の宿泊施設の業界団体American Hotel & Lodging Associationは、ホテル業界での失業件数が400万件に近づいていると試算した。ホテルの直接雇用者の70%が、レイオフもしくは一時帰休の対象になったという。この業界の雇用者が失う賃金の合計は、週あたり24億ドル(約2600億円)に達しているという。
3140億ドルの売上が消滅
国際航空運送協会(IATA)のデータによると、世界の航空業界の2020年の売上は3140億ドルの減少になるという。売上は前年比で55%のマイナスになる見通しだ。一方、オックスフォード・エコノミクスによると、米国の旅行業界全体が被る損失は5190億ドルで、ここから生じる経済的ダメージは1.2兆ドルに及ぶという。
旅行業界が被る打撃の規模は、2001年の911テロの際の9倍以上になる見通しだ。
空港の安全検査は1日10万件以下に
4月16日に米国全土の空港でセキュリティ検査を受けた人々の数は9万5085人だった。この数字は、昨年の同日には約260万人だった。
44%が運行休止
業界団体Airlines for Americaによると、米国の全ての航空機の44%が現在、運行を休止中で、休止中の航空機の数は2711機に及ぶという。昨年の12月時点では、休止状態の航空機の比率はわずか5%だった。
250億ドルで航空業界を救済
米トランプ政権は感染拡大を受けて2兆ドルの経済支援パッケージを用意し、そのうち250億ドルを航空業界の救済にあてようとしている。数日間に及ぶ交渉の後、デルタやユナイテッド、アメリカン航空などの大手10社は、一定の条件つきの救済金の受け取りに合意した。
そこで定められた条件には、9月まで90%以上の雇用を維持することや、10年以内に支援金の30%を返還すること、自社株の買い戻しの停止や、役員の給与を今後の2年間抑制することなどが盛り込まれている。