ブライトラインは今後4年以内に、ラスベガスとロサンゼルス近郊を最大時速200マイル(約320キロ)で結ぼうとしている。4月14日、カリフォルニア州の財務長官の承認を受けたことにより、ブライトラインは今後、6億ドルのPABの4倍にあたる最大24億ドルを外部から調達することが可能になる。
ヴァージン・トレインズUSAは現在、フロリダ州南部でもブライトライン鉄道を運行している。同社はネバダ州からも2億ドルのPABの承認を取りつけようとしており、最大8億ドルの調達を目指している。
「当社は間もなく西海岸でのプロジェクトを開始する」と15日、ブライトラインの公式ツイッターアカウントは宣言した。「本日、我々のチームは正式にラスベガスと南カリフォルニアを結ぶ鉄道建設に向けた社債発行を認められた。これにより、年内にプロジェクトを始動させる」
ブライトラインの列車はフル電動式で、自動車の排気ガス削減を目指すカリフォルニア州当局の姿勢とも合致する。ハイウェーのInterstate15と並走するルートを走る同鉄道は、南カリフォルニアとラスベガス間を約90分で結ぼうとしている。
数年前に米国政府の承認を受けた砂漠を横切る民間プロジェクトは、フォートレス・インベストメント・グループ(FIG)の出資で進められ、今後の約3年間で開通を目指している。ブライトラインの広報担当のBen Porrittは、このプロジェクトは1000人の雇用創出につながると話した。
カリフォルニア州は政府から提供された非課税の債権発行枠をこのプロジェクトに与えたが、用いられる資金は全て民間からの投資になる。
ヴァージンのブランド力で勢力を拡大
ブライトラインは2018年10月に英国で「ヴァージントレインズ」を運営するヴァージングループと提携を結び、正式社名をヴァージントレインズUSAに改めた。ただし、ブライトラインがヴァージンの名を名乗るのは、マーケティング上の理由からのようだ。リチャード・ブランソンは現時点では、米国の鉄道プロジェクトに出資は行っていないとフォーブスの取材に話した。ただし、今後、出資を行う可能性はあるという。
カリフォルニア州では公的資金を投入した高速列車の建設計画も進んでいたが、建設は大幅に遅延し、セントラル・バレー地区の都市を結ぶルートは想定以上のコスト増に直面した。一方で、民間の資金を用いるブライトラインのプロジェクトは、人口密集エリアを通らずに南カリフォルニアとラスベガスを結ぼうとしている。
ただし、ブライトラインも最終的には、ロサンゼルスから90マイル東のアップル・バレーから、既存の商用鉄道が運行中の郊外エリアまで路線を延長し旅客数を増大させる計画だ。
Porrittによると、年内に建設を始動させるためには、カリフォルニア州から割り当てられたPABを9月までに売却する必要があるという。ブライトラインは現在、ウエストパームビーチからマイアミの路線を、オーランドまで延長する工事も進めている。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、同社は南フロリダでの鉄道サービスを3月の末から停止させているが、そのプロジェクトの工事は現在も続いているという。