スーパーで90万円買い物? コロナ禍で世界の超富裕層はどう過ごしているか

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「8000ドル(約90万円)を費やしたお客様がいましたね」と語ったのは、グルメ食材を扱う高級スーパー「Citarella」創業者ジョー・グレーラ氏。「時々、カートいっぱいに商品を詰め込んでいる人を見かけますでしょう。でも最近は、そんなカートを5つ抱えていたりします」


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大量に買い込む客は、「基本的に買えるものはすべて」購入していくとグレーラ氏は言う。トイレットペーパーや消毒液は当然としても、備蓄食料として高価な肉や野菜を、他の人たちの生活に支障が出るほど買い占めてしまう。

ステーキ肉を数切れではなく、精肉コーナーの商品をすべて買い占める。エビを買いに移動しては冷蔵庫を空にし、調理済み商品コーナーに至っても同様だ。ラザーニャ一切れでは足りず、オーブン皿を満たすホールサイズが買いたいのだ。

旅行者がウイルスの媒介に


関連業者は喜びを隠せない。というのも、7月、8月より売り上げが伸びており、リカーショップでは500%の売上増を記録している。客単価は一度の来店で400〜2000ドルにおよぶ。このような顧客は心地よい生活のために投資を重ねてきたわけだが、ここに来て生活を乱され、保護を求めている。

バラク・オバマが住居を購入し、ビル・クリントンが定期的にバカンスを過ごすエリートたちの避暑地マーサズ・ヴィニヤードからは、新しく押し寄せる群衆に関して、長く居住する住人らの不満の声が聞こえてくる。懸念されるのは、小規模の病院や食料品店が、ウイルスに感染しているかもしれない人々で溢れる可能性や、この地ののどかな田園風景が永遠に破壊されかねないという点だ。

新型コロナウイルスは今回、旅行者を媒介に使ったという意味で「ブルジョア層を媒介の手段に利用した」ともいえるが、結果的にもっとも被害を被るのは貧困層だろう。

数カ月の賃貸料が軽く10万ドルにもなるロングアイランドへ車で避難する際、皮肉にも、富豪たちはクイーンズ地区を通過したはずだ。感染者数2万7000人、死亡者数1200人となり、アメリカ全土でもっとも被害を受けた地域だ。本記事の執筆時点から3週間前のイタリアと同じような状況だが、クイーンズ地区の人口がイタリア人口の26分の1ということを考えれば、圧倒的な数である。

文=Paolo Mossetti 翻訳=大村紘代 編集=石井節子

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