事故や罰金も? 新型コロナが及ぼす、交通への意外な影響

Photo by Emanuele Cremaschi/Getty Images


他国でも、米ミズーリ州と似たような事故が起きている。交通量が7割以上減っているということで、その空いている道路を暴走してみようという無責任なドライバーが出てくるからだ。オーストラリアとイギリスでは、制限速度を50km/hもオーバーする違反者が続出しているそうだ。

また、多くの国では、交通量の激減によって、住宅地や市街に熊や鹿、狐などの野生動物も出没するようになり、ドライバーにとって危険な障害物となっている。庭に鳥やリスが来たというのは微笑ましいが、道路に熊は危険だ。

オーストラリアでは、罰則がもっと厳しい。メルボルンに住んでいる友人は、娘を助手席に乗せて近くのスーパーに向かう途中に検問で止められ、1000ドル(約8万円)の罰金を罰せられた。「何をするにしても、人から必ず2メートル以上の距離を保つように」と言われている中で、60cmしか離れていない助手席に娘を乗せてしまったからだ。助手席の後ろの席に乗せていれば、ギリギリセーフだったようだ。

日本はどうか? 4月8日に関東地方などでは緊急事態宣言が発表され、多くの人が外出自粛や自宅勤務をしていることで、警視庁によれば、1月から3月までの交通事故は15%ほど現象した。しかし、交通量は大幅に減少しているのに、事故による死者は5人増えて、34人となった。他の国で起きているように、交通量が減ってクルマのスピードが出やすくなると同時に、歩行者や自転車の飛び出しも増えたためとみられている。確かに、のんびりした歩行者が多いように思える。

こんな緊急事態に運転する際は、交通量の少なさに意識をとられずに、いつもよりも歩行者などを注意しながら速度制限を守ることをお忘れなく。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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