「ライブ配信には娯楽以上の価値がある」 宮下ゆりかが365日連続配信で気づいた、ライバーの可能性

ライバーとして活動する宮下ゆりか

「今やユーチューバーは市民権を得て、子どもたちが憧れる職業になっています。ただ、ライバーは『それって小銭稼ぎでしょ』と言われることが多く……。みんな肩身の狭い思いをしているんです。私はライブ配信には単に娯楽に過ぎない多くの可能性があると思っています。それをもっと多くの人に知ってほしいですし、ライバーも憧れの職業にしたいです」

スマートフォンを使って、ライブ配信を行う──ライバーについて、こう持論を展開するのが、自身も17 Live(イチナナライブ)でライバーとして活動する、宮下ゆりかだ。

彼女が“ライブ配信の可能性を探る”をテーマに掲げ、ライブ配信を本格的に始めたのは2018年10月のこと。当時はまだ“ライバー”という言葉も、あまり知られていないライブ配信の黎明期。宮下もライブ配信の知識はゼロだったが、いきなりこんな宣言をする。

「これから365日連続でライブ配信します!」と。

初めてのライブ配信から1年後、2019年10月まで宮下は1日も欠かさずライブ配信を実施。この姿勢が多くの人から支持を集め、17 Liveが開催したイベントでは世界1位を獲得している。

もともと、宮下は大学生時代に読者モデルを経験した後、動画メディア事業を手がけるIT系ベンチャー企業に就職。ママ向け動画メディアの編集長を務めたほか、ライブコマースアプリの立ち上げに従事した経験を持つ人物だ。

なぜ、前例が少ない中、ライバーとしてのキャリアを歩み始めることにしたのか。また多くの人から共感を集めるために、どんな工夫をしたのか。宮下に話を聞いた。

ライバーに対する、世間の認識を変えたい


──まず、ライバーになったきっかけは何だったのでしょうか?

ママ向け動画メディアは2016年2月にリリースしてから順調にメディアも成長し、SNS総フォロワー数は100万人を超え、多くの方に見ていただいていましたが、コメント欄がママたちの語らいの場になっていたんです。

ひとつ動画を上げると100件ママから悩みや共感のコメントが届き、顔の知らないママがそのコメントに返事をするといった具合で熱狂的なコミュニティが出来上がっていました。中の人としてユーザーとコミュニケーションをする中で、「録画」では感じられない「生」の魅力に惹かれていました。映像に対する注目も上がっていく中で、会社として“ライブコマース”に取り組むことになったんです。

ただ、これまで手がけてきたコンテンツは録画が中心で、ライブ配信の経験がある人がいなかった。また国内のライブコマース市場には成功事例がない。ライブコマースも動画メディア同様コミュニケーションを通して物が売れるという点で関連性があると考えていたので、開発や運営のためにもユーザーとしての意見を持ちたくて、ライバーを始めました。

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365日配信達成
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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