ブルワーの経験もこれに近い。ブルワーは米紙ニューヨーク・タイムズへの論説記事で、不安によって誤った行動を取らないようにする方法が2つあると説明している。まずは、自分が不安になっていることを認識すること。次に、その結果を理解することだ。これにより、安心をもたらす行動と、実際に生き残りに欠かせない行動を区別できる。
「パニックは危険な行動につながる可能性がある」とブルワー。「不安は心身の両方を弱体化させ、長期的な健康への影響をじわじわともたらす」
長期的な心構えが必要
ソーシャル・ディスタンシングを保たなければならない期間がまだこれから数週間は続く中、事実で納得しない従業員や友人、家族にはどう対処すればよいのだろう? ブルワーは次のように助言している。
・事実に基づく情報を受け入れない人がいるのはなぜ?
ブルワーは「行動は、理性的な考えではなく感情により動かされている」と説明している。これを理解すれば、いら立つ気持ちも少し抑えられるだろう。
・こうした人と話す上での最良の方法は?
ブルワーは、相手の立場に立って、感情面で共感すること一番だと述べている。つまり、相手の恐怖心を認めつつ、その状況に関する事実を穏やかに説明し、適切な行動を取ることを常に勧めて、可能な限り最善の結果を出せるようにすることだ。
・相手の考えを変える最良の方法は?
他人に影響を与えるのは難しく、人が既に持っている考えを変えるのはさらに困難だ。相手の考えを完全に変えることはできないかもしれないが、ブルワーによると試す価値のある一番の方法は「正の強化」だ。これは、指針を守ったり、現在の枠組みの中で新たな働き方を考案したりしているチームメンバーを激励・称賛し、さらには報酬を与えることを指す。
・自分自身の考えを変えることにオープンになる方法は?
もちろん、間違ったことをするのは他人だけではない。新たな現実を受け入れられないのが自分である場合、最初に取るステップは脳を「リセット」し、感情面で冷静になるために必要な時間を十分に取ることだとブルワーは述べている。「人は不安やパニックを感じると、考える脳がオフになり、思考ができなくなる。最初のステップは考える脳をオンに戻して、理性的な情報を受け入れられるようにすることだ」
世界は変わってしまった。それが通常に戻ったとしても、それは以前の「通常」とは違うものになるだろう。今は対処しなければならない未知の領域が多くあり、それには自分の周囲の人々の反応も含まれる。