経済・社会

2020.04.18 10:30

アベノマスク騒動を尻目に。台湾「Eマスク」システムの快進撃

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世界中でコロナ禍がすすむ中で注目されているのが台湾だ。4月14日に、36日ぶりにコロナ感染者0人を発表。累計の感染者についても約400人にとどまっている。近隣諸国と比較すると少ない感染者数もさることながら、マスク対応が先をいっているのである。ICチップがついた保険証で「予約」することで99%手に入るし、逆に買い占めが絶対不可能という「Eマスク」システムを実施したのだ。

反面、日本では今もマスク騒動が続いている。早くから薬局をはじめ、多くの売り場からマスクが消え、メルカリやヤフオクで高額転売される事態となった。また、政府が全世帯に布マスクを配布することを決めると、SNSを中心に「アベノマスク」と揶揄する投稿が散見されるようになる。「布マスクを出品しないように」と、今度はメルカリからアナウンスされるなど、マスク騒動がおさまらない。

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「マスク国家チーム」結成。1カ月半で生産能力13倍に

しかし、台湾の対応は日本のそれとは異なる。台湾でマスク騒動が起こってすぐの1月下旬、すべての工場を政府が管理、購入制限を行った。と、同時に各メーカー各社に「マスク国家チーム」結成を要請。生産能力向上を目指した。その結果、1カ月半で生産能力が13倍にもなり、現在は安定してマスクを供給できている。


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何よりもITの技術抜きでは語られない「Eマスク」政策を導入したことは、世界を驚かせた。各販売店のマスク在庫数をリアルタイムで把握できるアプリを開発。在庫データの更新頻度は「30秒」ともいわれる。

もともとは薬局などで販売を行っていたが、学生や会社員はなかなか店頭に並べない。そこで、マスクを国民に均等に配布するため、インターネットを活用して予約販売する新たな試みを行ったのだ。事前に本人登録を行い、あとはコンビニなどに行って受け取るだけ。14日間で9枚まで購入でき、料金も(9枚で)約200円となっている。

「Eマスク」の手順としては、1. 名前、電話番号、身分証明証番号、保険証で予約、2. 上記の情報が正しく一致すれば「予約完了」のメールが携帯に届く、3. 支払い方法はインターネットバンクやクレジットカード、銀行振り込みなどから選べる、4. たとえば、家の近くにある4大スーパーの中から1つ選んでそこで受け取る、ということらしい。

台湾に9年在住の日本人男性は、「Eマスクのためのアプリ申請はそう難しくなく、コンビニでもストレスなく受け取ることが可能」という。そのため、最近は人々が薬局に並ぶ姿が「珍しくなった」ともいう。

政府支持率アップも

この効果は計り知れない。市民が落ち着いてマスクを購入することができ、自身が無駄に購入しないことが、他の市民を助けることになる。また、医療機関にも安定供給できているので大きな混乱もなさそうだ。今回のマスク対策で政府への信頼も厚くなり、支持率も高まっている。

現在のところ、日本と同じ約5万人にPCR検査を実施済み。うまく新型コロナウイルスをコントロールできている国の代表例だ。ただし、すべて終息したわけでないので、引き続きの注意が必要ではある。マスクや消毒、検温の徹底は引き続き行われており、公共交通機関を利用する際にはマスクが義務付けられており、違反者には罰金が課せられる。

決して気を緩めてはならない、が、国民が安心して生活できることは大切だ。どの国でも起きがちなマスク騒動ではあるが、ITの技術で混乱をおさめた好例だと言えるだろう。


上沼祐樹◎編集者、メディアプロデューサー。KADOKAWAでの雑誌編集をはじめ、ミクシィでニュース編集、朝日新聞本社メディアラボで新規事業などに関わる。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科を修了(MBA)し、大学で編集学について教えることも。フットサル関西施設選手権でベスト5(2000年)、サッカー大阪府総合大会で茨木市選抜として優勝(2016年)。

文=上沼祐樹 編集=石井節子

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