「新型コロナウイルス」をテーマにする今年の500 KOBEでは、感染防止、情報発信、物流確保といったストレートなものはもちろん、コロナの影響を受け激変しているあらゆる領域が対象となる。
例えば、感染防止のために、仕事、学習、医療から飲み会まで、あらゆることがオンラインで行われるようになった。これまで「働き方改革」としてリモートワークが推進されてきたが、実情はさほど広がらなかった。ところが、今回の新型コロナウイルスによって、それが全世界で強制され、本来なら10年かかるはずの改革が、わずか数カ月で進もうとしている。
そうなると、仕事の種類によって、リモートでの対応が難しい生産・製造業はどうするのか、接客・販売業はどうなるのか、とさまざまな困りごとが出てくる。これこそビジネスの種となる。
今年のプログラムがどのようになるか不安と期待が入り混じるが、2018年に500 KOBEに採択されたスタートアップがいま注目されているという嬉しい話もある。
病院の集中治療室(ICU)の遠隔支援サービスを提供する「T-ICU」が、地域の中核病院が新型コロナウイルスの重症患者を受け入れて、周辺病院が他の救急患者を診るためには必要不可欠なツールだとして、いまや全国から引っ張りだこだという。
2020年2月に行われたICCサミットのコンテストで優勝した「T-ICU」の中西智之代表取締役社長(中央)
昨年までは、スタートアップのCEOら約50名が神戸の500 KOBEの会場に集まった。しかし、感染防止のためには、参加者を集めるべきではない。また、各国の国境が封鎖され、日本にやってきたとしても2週間の隔離などが必要となる中で、海外チームが日本に来ることも現実的でない。制約があれど、実施できるのはポジティブな話だ。
果たして、新型コロナウイルスのパンデミックという危機から生み出される新たなビジネスを成長させることができるだろうか。混迷する時代に、オンラインで開催される500 KOBEが、未来を創る新たな光明になることを期待したい。
連載:地方発イノベーションの秘訣
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