地方発イノベーションの秘訣

500 KOBE プログラム

新型コロナウイルスのパンデミックが、スタートアップ企業への大きな逆風になっている。金融市場の混乱によって、世界的なカネ余りが支えてきたスタートアップ企業の資金調達にかげりが見え始めてきた。個人や機関投資家が保有する株式の価値が急減したので、新たな出資にブレーキがかかったのだ。

ところが、逆に資金が猛烈に流れ込んでいる領域がある。新型コロナウイルスに関連した研究・開発やビジネスの分野だ。治療のためのワクチンや医療機器だけでなく、オンラインで会議、学習、医療を行うサービスなどが含まれる。

中止から一転、オンラインでの開催を


そんななか、神戸市は、今年の500 KOBE プログラムを「新型コロナウイルス」をテーマにして開催すると発表した。500 KOBEとは、神戸市が2016年から、シリコンバレーのシード投資ファンド「500 Startups」とともに起業家育成を進めてきたプログラムで、これまでに71社を採択、資金調達の総額が100億円を超える。

シリコンバレーなどから第一線の指導者たちが来日して講義や個別指導を行う、日本国内では類を見ないプログラムだ。昨年は、国内外から174社の応募があり、うち3分の2の116社が海外からになるなど、国際的にも知名度は高まっている。

実は、神戸市は、3月31日に500 Startupsとウェブ会議を開き、この感染拡大の状況下で、今年のプログラムをどうするかを話し合った。「起業家たちを神戸に集めるなんてありえない」「ビジネスプランを投資家らに披露するデモデイも無理だ」「なにより、行政として、コロナ対応に専念すべき時期に、起業家育成をすることに世の中の理解が得られないのではないか」白熱した議論のなかで、今年の開催を中止せざるを得ないという意見も出た。

そこで、神戸市が「それなら、思い切ってテーマを新型コロナウイルス対策に振り切ったらどうか。世界を変えると打ち出そうではないか。講義や個別指導はやむを得ないが、すべてオンラインでやろう」と提案すると、500 Startups側の理解は早かった。わずか1時間の会議で、両者は基本合意に至った。

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500 KOBE ACCERELATOR デモデイ(2019年12月)

文=多名部重則

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