4月16日のブルームバーグの報道によると、ロビンフッドは新たに2億5000万ドル(約270億円)の資金調達を進めている。同社の評価額は調達前の段階で80億ドル(約8600億円)とされたという。ロビンフッドは昨年7月の資金調達の際に、76億ドルの評価を得ていた。
2013年設立のロビンフッドは累計9億ドルをベンチャーキャピタルから調達している。
関係筋がブルームバーグに語ったところによると、新たな調達ラウンドはセコイア・キャピタルが主導し、既存の出資元も参加するという。ただし、セコイア以外の出資元の合意が得られない場合、見送りになる可能性もある。
ロビンフッドのセコイア以外の出資元としては、Kleiner PerkinsやThrive Capital、NEAなどがあげられる。
ロビンフッドはパンデミックが始まった当初、株式市場が乱高下する中で、システムの不具合でサービスを一時停止させたが、ミレニアル世代を中心に人気を維持している。関係筋によると、3月の売上は6000万ドルに達し、2月の3倍に伸びたという。
ロビンフッドのアカウント数は昨年末時点で1000万人を突破し、モルガン・スタンレー傘下のイートレードを抜いていた。
3月上旬に、ロビンフッドは取り引きボリュームの急増によってシステムの不具合を起こし、サービスを中断したが、同じタイミングでフィデリティやCharles Schwabの株取り引きアプリもトラブルに見舞われていた。ロビンフッドによると、障害の原因はトラフィックの急増と新規入会者の急増だったという。
ロビンフッドの広報担当はCNBCの取材に、3月の1日あたりの取り引きボリュームは、第1四半期平均の3倍に達したと述べていた。さらに、預かり金の総額は前四半期の10倍に及んだと話した。
世界経済が甚大なダメージに直面する中においても、ロビンフッドは投資家から絶大な信頼を獲得し、巨額の資金を調達しようとしている。他のフィンテック系アプリの中には、パンデミックの影響で社員のレイオフに追い込まれたものも多い。
レストラン向けのPOSプラットフォームを開発するフィンテック企業Toastは、業績の悪化で社員の半数をレイオフした。ソフトバンクが出資する、小規模事業者向けローンプラットフォームのKabbageも、社員の多くに一時帰休を命じインドのバンガロールのオフィスを閉鎖した。
企業のキャップテーブル(資本構成表)やエクィティプランなどの管理を助けるソフトウェア企業Cartaも、全体の16%に及ぶ161人の従業員のレイオフを進めている。しかし、ブルームバーグの記事によると、Cartaは新たに2億ドルの資金を評価額30億ドルで調達しようとしている。これは、2019年の調達の際の評価額18億ドルを大きく上回る数字だ。