関係筋がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に伝えたところによると、ベライゾンが支払う金額は5億ドル(約540億円)以下になる見通しという。買収手続きは2020年第2四半期に完了する予定とされる。
在宅勤務を行う人々の間で、業務コミュニケーションツールの利用は拡大し、Zoomやスラック(Slack)、マイクロソフトなどのソフトウェアの需要は急増中だ。ベライゾンも買収によって、この分野での収益拡大に乗り出した。
モバイル通信大手のベライゾンは、1万5000人以上の利用者を抱えるBlueJeansを傘下に収め、遠隔医療やオンライン教育、業務トレーニングツールなどへの進出を狙っている。
BlueJeansは一般コンシューマーよりも、ビジネス顧客に注力している。同社は、競合のZoomやスカイプが無料でサービスを提供しているのとは対照的に、有料で暗号化されたビデオ会議ソリューションを提供している。
BlueJeansのツールはフェイスブックやリンクトイン、Zillowなどの企業で導入されている。同社とベライゾンは昨年から、買収交渉を進めてきたとされる。
5G通信網の拡大を進めるベライゾンは、同社のネットワーク内にBlueJeansを取り込むことになる。競合のZoomと同様に、BlueJeansはパンデミックの中でユーザー数を急拡大させている。
ベライゾン・ビジネスCEOのTami Erwinはプレスリリースで「人々の働き方が大きく変化する中で、企業向けに特化したセキュアで使い勝手の良い、既存のツールと統合可能なソリューションを提供していくことは非常に重要だ」と述べた。
今回のニュースを受けてベライゾンの株価は1.3%上昇した。Zoomの株価は1.2%以上の下落となった。
今年に入り、Zoomは急激に利用者を伸ばし、在宅勤務を行う人々の間で最も利用されるビデオ会議ツールの1つとなったが、セキュリティ上の問題によって非難も浴びた。ニューヨーク市教育局などの複数の組織が、既にZoomを利用禁止にした。
ベライゾンCEOのハンス・ベストベリは、CNBCの取材でZoomとどのように戦っていくかを尋ねられ「当社は、独自のディストリビューションチャネルを持っている点が強みだ」と答えた。