スタンフォード大教授が説く、すぐできる「睡眠の質を高める」コツ

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「あなたは、ぐっすり眠れていますか?」この問いに関してYesと答えられる日本人は、多くはないと思う。OECDが2018年に調査した結果によれば、日本人は世界的にみても明らかに睡眠時間が短く、慢性的な睡眠不足により、自己のまたは日本全体の生産性を下げていると言っても過言ではない。

実際、世界的シンクタンク「ランド研究所」の報告によれば、日本だけで、睡眠不足により年間約15兆円もの経済損失があり、かつ、別の研究報告では、チェルノブイリ原発事故やエクソンバルディーズ号原油流出事故も、睡眠不足による人災であることもわかってきている。

これは日本の中では一部の方にしか知られていない事実であると同時に、未だに徹夜仕事、徹夜自慢を豪語する日本特有の文化も少なからずあるのを見ると、明らかに時代遅れの感覚であるということも知ってほしいと思う。

ここで、「あなたは少なくとも6時間半以上寝ていますか?」という問いに関しても、自身の中で考えていただきたい。これは、我々ブレインスリープ社がとった最新の睡眠実態調査の中で明らかになった全国1万人の睡眠時間の平均値である。あなたがこの時間より極端に短い、また極度に長いのであれば今一度自身のライフスタイルを見直してほしい。

もちろん適切な睡眠時間には個人差があり、睡眠時間だけで一概に言うつもりもないが、様々な研究調査においても睡眠が不規則であることは肥満、糖尿病、高血圧、鬱病、がんなどの疾患リスクを上げることがわかっている。特に働き盛りの30代~50代は特に気を付ける必要がある。

パフォーマンスの違いは、前夜の睡眠の質で決まる


さて、睡眠時間を確保しているが日中どうしても眠くなる、または睡眠時間をどうしても十分確保できない人もいると思う。そういう人は、決められた時間の中での睡眠の「質」を高めることを意識してほしい。そのためには睡眠に関わる基本的なことを知って、自分に合った睡眠ルーティーンを身に付けることが重要である。そのために、まずは下記の2つの視点を是非実践してみてほしい。

1. 睡眠の質を下げる、悪習慣を取り去ろう
2. 睡眠の質を高める、寝始めの黄金の90分

まず1つ目の「睡眠の質を下げる悪習慣」ということに関して、1万人の多角的な視点のデータに基づき、「睡眠偏差値」として睡眠を指標化する調査の中で、睡眠偏差値が低い1000人に共通して見られた生活習慣として、下記の5つが挙げられた。

・朝食を抜くことが多い
・夜食や間食を食べることが多い
・お酒を飲む頻度も量も多い
・喫煙者もしくは喫煙経験者である
・静かで暗い環境で寝ていない、就寝時に明かりをつけて寝ることが多い
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編集=新國翔大

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