同社は4月15日、フランスの全てのフルフィルメントセンターを一時閉鎖し、これらの倉庫からの発送を停止するとアナウンスした。
ロイターによるとアマゾンは、フランスで6カ所の倉庫を運営しており、1万人を雇用している。今回の動きはフランスの裁判所が14日、アマゾンに対し、業務の安全性が確認されるまでの期間、「必要不可欠な」商品のみを出荷するよう義務づけたことを受けてのものだ。
フランスでは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、労働組合らが雇用者の安全確保を求める訴えを起こしており、裁判所は彼らの求めに応じる形で、今回のアマゾンに対する命令を行った。
アマゾンの広報担当のKelly Cheesemanは声明で、同社の物流センターでの業務は複雑に入り組んでおり、禁止されたアイテムを誤って出荷してしまうリスクがあると述べた。Cheesemanはさらに、命令に背いた場合の罰金が1アイテムあたり100万ユーロ(約1億1700万円)と、「あまりにも高額すぎる」と付け加えた。
アマゾンによると、同社は今後も外部のマーケットプレイスの売り手や、欧州の別の国の物流センター経由で、フランスの顧客向けに発送を行うことは可能だという。ただし、今回の措置により、フランスの顧客がどのような影響を被るかは定かではないという。
「当社は裁判所の決定に当惑している。アマゾンは既に十分な安全措置を講じているのにも関わらず、裁判所は今回の命令を下した。我々は控訴する」とCheesemanは述べた。
今回の命令は、アマゾンが新型コロナウイルス感染拡大防止に向けて、倉庫で十分な対策をとっていないとする労働組合の訴えを受けてのものだ。労働組合側は、アマゾンがオペレーションを一時停止したことを「我々の勝利だ」と述べた。
米国のフルフィルメントセンターで働く人々も、フランスの労働者と同様な主張を行っており、業務の一時停止や職場の消毒などを求めている。
アマゾン側は倉庫の従業員らの体温チェックを行い、マスクも無料で提供すると述べた。同社は3月16日、北米で7万5000人を追加採用すると宣言し、賃金を時間あたり2ドル引き上げ、時給17ドルを最低ラインとするとアナウンスした。