コロナ対策に成功した国々、共通点は女性リーダーの存在

ドイツのアンゲラ・メルケル首相(Photo by Adam Berry/Getty Images)


テクノロジーの活用


アイスランドでは、カトリン・ヤコブスドッティル首相の指揮の下、国民全員に対し無料の新型コロナウイルス検査が提供されており、ウイルスの流行規模と致死率の実態を知る上で重要なデータが得られる見通しだ。多くの国では症状がある人のみに検査が実施されているが、アイスランドの人口に対する検査件数は韓国の5倍にも上る。また、徹底的な追跡システムも導入し、封鎖措置や学校閉鎖も回避してきた。

昨年12月にサンナ・マリン首相が世界最年少の国家元首として就任したフィンランドでは、ミレニアル世代である同首相の陣頭指揮により、ソーシャルメディア上のインフルエンサーを新型コロナウイルス対策に動員。誰もがニュースを読むわけではないことを認識した上で、さまざまな年齢層のインフルエンサーに対して、感染拡大防止に向けた正しい情報発信での協力を要請している。

慈しみの心


ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相は、テレビを通じて国内の子供たちに直接語り掛けるという革新的なアイデアを実行に移した。その数日前には、デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が子供たちからの質問に答える3分間の短い記者会見を実施しており、ソールバルグ首相のアイデアはこれにならったものだった。

ソールバルグ首相は大人の参加を禁じた記者会見を開き、全国の子供たちから寄せられた質問に答え、恐怖を感じるのはいけないことではないのだと時間をかけて説明した。その独創性と分かりやすさに、人々は感服。女性リーダーがもっと増えたなら、こうしたシンプルで人間味にあふれるイノベーションがさらに多く生まれることだろう。

これらの女性リーダーたちが示した共感力や思いやりは、私たちに馴染みのある世の中とは別世界のものにも思える。米国のトランプ、ブラジルのボルソナロ、メキシコのロペスオブラドール、インドのモディ、フィリピンのドゥテルテ、ハンガリーのオルバン、ロシアのプーチン、そしてイスラエルのネタニヤフは対照的に、この危機を利用して恐ろしい強権体制を推し進め、他者に責任を転嫁したり、司法を手中に収めたり、ジャーナリストを悪者扱いしたり、永遠の権力を追求したりしている。

女性が他とは異なる有益なリーダーシップスタイルを持っている可能性については、長年の研究によって示されてきた。だが現状として、非常に多くの政治組織や企業が、リーダー職や成功を求める女性に対し、男性的な振る舞いを要求している。しかし、ここで示した女性首脳たちは、男性が女性から学ぶべきリーダーの資質を示す模範例だ。私たちは今こそ、その価値を認識し、より多くの女性リーダーを選ぶべきだ。

翻訳・編集=遠藤宗生

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