Close RECOMMEND

イノベーションの舞台裏

和ピクルスブランド「和もん」

スタートアップの事業選択として、「D2C」は今や当たり前のように耳にするようになった。その一方で、複数の投資家から、D2Cに対して慎重な意見もよく耳にする。既存のEC通販事業との違い、他社の参入障壁や差別化についての疑問に加え、マットレスD2C事業を展開するキャスパーのIPO引き下げにより、この論調がさらに強まった。

そんな中、私が代表を務めるSEAMでは、2020年4月15日より、和ピクルスブランド「和もん」の事前登録を開始し(本リリースは5月後半)、食品D2C事業への第一歩を踏み出した。「和もん」は、有機野菜に天然だしとお酢を使った、体に安全・安心の和ピクルスだ。現在12種類だが、毎月新しい商品を展開し、個人の健康状態や味の好みに合わせて半カスタマイズしていく予定である。

「和もん」を始めた背景には、もちろん自分なりのD2Cの捉え方と勝算がある。また意図せずとも強制的にやってきたコロナ時代における価値変容期だからこそ、D2Cの追い風と和もんが見出す価値が十分にあると考えている。(※本稿は、あくまで個人の意見である)



D2Cそのものは新しい概念ではない、“D2C思考”が重要


Direct to Comsumer(D2C)は、そもそも新しい概念ではない。例えば昔からある訪問販売や電話販売は、直接的な顧客の繋がりによる販促方法であり、アパレルや飲食店では、店舗で直接コミュニティができ口コミを呼ぶ。“顧客と直接繋がる”という点では、古くよりその手法は至る所で実践されている。

そんな中“D2C”が言葉として浸透した第一の理由は、デジタルマーケティングの進化により顧客へのアプローチ方法がマルチチャネル化することで、ブランドが分散された、ということに尽きるのではないだろうか。

2019年、日本の広告費ではインターネット広告費が2兆1048億円となり、ついにテレビCMの出稿額1兆8612億円を超えた(電通「2019 日本の広告費」調べ)。


出典:電通

メーカーが莫大なCM費を用いて商品訴求を行い、量販店の棚とり戦略で市場とブランドを作り上げるモデルが少しずつ壊れていった。一方で、中小企業や個人が、マーケティング費用を調整しつつ、デジタル広告やSNS、デジタルメディアを通して、ターゲットセグメントに直接アプローチできるようになった。各ジャンルにおいて、一強ブランドがマネー勝負で大きなシェアをとる時代ではなくなり、顧客はそれぞれのライフスタイルや嗜好性に応じて多様なブランドを選びこだわりの消費行動ができるという世界観に変化した。

編集=新國翔大

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ