ビジネス

2020.04.19 08:30

売上1.5兆円の中国「出前企業」とレストラン業界の対立が激化

Andy Feng / Shutterstock.com

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中国の美団点評(Meituan Dianping)は、今四半期も損失を計上する見通しだが、コアビジネスのフードデリバリー事業では、パートナー企業から手数料の引き下げを求められている。

ビリオネアのWang Xingが率いる美団点評は香港市場に上場している。同社は提携するレストラン組合から、フードデリバリーの手数料を過大に徴収しているとの申し立てを受けた。広東省のレストラン組合は、美団点評が新型コロナウイルスの感染拡大の中で、取り引き先に不当に高い手数料を要求し、彼らを食い物にしていると主張した。

美団点評はこの申し立てに反論したが、組合側は彼らの主張の正当性を改めて主張し、美団点評がレストランとの間で結んだ、不当な独占契約を改めるよう求めている。

アナリストらは、売上の半分以上をフードデリバリーから得ている美団点評が、今後ますます苦しい立場に追い込まれると指摘する。同社の昨年の売上は約138億ドル(約1.5兆円)だった。

美団点評は今後、広東省においてコミッション料金の引き下げに応じざるを得ないかもしれない。

深センに本拠を置く調査企業Blue Lotus Capital AdvisorsのShawn Yangは「中国のレストラン業界は今、これまでで最も厳しい状況に置かれている」と話す。「店舗の多くは、感染拡大による景気後退の中で、手元の資金を使い果たしつつある」

Yangによると、美団点評が広東省で1%から2%の手数料の引き下げに応じたとしても、彼らの売上に与える打撃は、さほどのものではないという。しかし、他の地域のレストラン組合が同様な動きに出れば、重大な影響を及ぼしかねない。

パンデミックは中国のレストラン業界に甚大なダメージを与え、多くの店はオンライン経由の注文に頼るしかなくなった。

美団点評によると、同社の出前プラットフォームに参加する店の80%以上が、1配達あたり10%〜20%のコミッション料金を支払っているが、同社が直近の四半期で1配達から得た利益は0.03ドルという、わずかなものだった。

「当社は、デリバリーサービスの質を高め、デジタルインフラを整備するために収入のほとんどを新規投資に回している」と、美団点評の取締役のWang Puzhongは述べた。

パンデミックによって美団点評も大きなダメージを受けているという。2010年に創業の同社は、昨年初めて営業利益を計上したが、2020年第1四半期は再び損失を計上する見通しだ。

感染拡大を受けて、中国全土の店舗が閉鎖された後、消費者らは出費を抑えるようになった。美団点評の配車サービスやホテルの予約ビジネスも、大きな打撃を受けている。

「美団点評のようなローカルサービス企業は、甚大なダメージを避けられない」と、美団点評のWangは述べた。「当社のフードデリバリー部門や旅行部門は、需要面で供給面でも、短期的に巨大な困難に直面することになる」と彼は話した。

編集=上田裕資

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