ナチュラルに練り上げられた、生活に近いBEV──メルセデス・ベンツ

MERCEDES-BENZ EQC400 4MATIC

電動化で何をかなえるのか。メーカーの姿勢が明確に表れるのがEVだ。なぜメーカーはEVをつくるのか? サステイナブルなクルマ社会のあり方を提示しながら、EVで未来のクルマ社会にどう貢献するつもりでいるのか。ユーザーはメーカーの姿勢を見ている。その厳しいまなざしに耐えうるコンセプトを実現するEVが増えてきた。


MERCEDES-BENZ EQC400 4MATIC

商品づくりにはメソッドがある。最初は特徴をことさら強調することでトンガらせて印象づけ、そのあと平準化して多くのひとに受け入れられやすいものを開発する。これが定番かつ王道とされる。

その流れをうまく使ったと思わせるのが、メルセデス・ベンツのBEV(バッテリー駆動電動車)のEQCだ。

ぱっと見では、SUVとステーションワゴンの要素を組み合わせた、いわゆるクロスオーバービークルだ。走らせても、実は、これがBEVと気がつかないひともいるかもしれない。

EQCは、電動車の分野ではやや遅れて登場した。SUVスタイルの欧州車では、アウディがe-tron(日本未発売)を、ジャガーがI-PACEを先行発売している。

それらが、内燃機関のクルマとは異なる個性を売りものとしている。

スタイル、コネクティビティの技術、どんっと最大トルクが立ち上がるモーターの特性を生かした加速性能、アクセルペダルと連動した回生ブレーキ、それに重心を低くした操縦性といったものだ。

EQCは電動車の特徴を際立たせないところが特徴だ。別の言い方をすると、ナチュラルさが身上である。

全長4761mm、車重2.5tの車体なのだが、重さや大きさを意識させない。前後に1基ずつ搭載された電気モーターが、80kW/h 時と大きなバッテリーと組み合わされているので、アクセルペダルを軽く踏んだだけで、軽快な感じで加速する。

後部座席もスペースはたっぷりと余裕があり、もう少し先になると思っていたBEVがいきなり近い存在になった感が強い。そこが最も評価していいポイントだと思う。

高速でもスムーズで、うまく走れば後続距離は400kmに届くそうだ。一方で、アクセルペダルの踏み方で減速をコントロールできる回生ブレーキにより市街地での走りが楽に。練り上げられた存在なのだ。

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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