デボラ・マイシュリック医師(63歳)
ニュージャージー州、カムデン(コッパ-大学ヘルスケアの小児感染症専門医で、新型コロナに関する病院の意思決定チームの一員)
毎日Eメールを開くと情報が殺到しています。そうした情報を選り分けて、国の別の場所にいる仲間の医者に連絡し、情報を集めて自分の患者に最善の治療ができるようにしています。私の医療業務は一変しました。ここでは子供と若年層のためのHIVプログラムがあり、定期的に電話をしたりメッセージを送ったりしてきました。でも緊急の必要性がない限り、診察に来てもらうのは避けています。また地域の小児科から紹介状をもらったプライベートの患者や、病院の経過観察中の患者の診察も続けています。
最近この病院ではマスクについての方針を変えました。私は1枚のマスクを1日中つけています。12時間は有効なので、12時間以内に仕事が終われば、紙袋に入れて職場に戻ったときに汚れたり濡れたりしていない限り、またそれを付けます。私はパートナーと仕事をしていて、以前は同じ日に勤務することもよくありました。診察室内で私たちは患者や生徒がいなければ1.5フィート(約45㎝)ほどの距離にしました。今は勤務日を交代にし始めました。
私は63歳ですので少し心配ではありますが、すべきことは変わりません。ただ手指衛生にはより気を配るようになりました。いまでは少しだけ気分も落ち着いたので、苦労しながらゆっくり進んでいきます。これが私の生業ですから。
デビッド・ウォルトン医師(43歳)
マサチューセッツ州ボストン(ブリガムウィメンズ病院の臨床医、貧困地域の医療インフラづくりを援助する非営利団体「ビルド・ヘルス・インターナショナル」CEO兼共同創立者)
私は違うアングルからこの状況を見ています。長年、世界中の医療現場に携わってきました。コレラが流行していた時はハイチに、エボラ出血熱が流行していた時はシエラレオネで治療に携わっていましたが、物資不足のなかで伝染病を扱うのはこれが初めてです。治療現場にはいつも適切な個人防護具がありました。ここではN95マスクも、ゴーグルもフェイスシールドも再利用しなければなりません。個人防護具の不足は今後ますますひどくなるでしょう。
私は「マクガイバーリング」(手近な物を工夫して利用すること)も全く平気ですが、皆がそういうわけではないでしょう。私は自分が病気になるリスクも仕事の範囲内だと納得しています。こういうことも含めて医師として契約書にサインしたのです。
前向きな展望を話せればと良いのですが、それは現実的ではありません。科学と、ウイルス感染に関して我々が知っている事実に基づき、最悪の事態に備えて心の準備をしています。私が心配しているのは、米国の医療システムが崩壊し、受け入れた患者に対応できなくなったとき、どうなるのかです。イタリアで起きたことは、米国でも起き得ると警鐘を鳴らしています。
社会から取り残された人々はより深刻な影響を受けるでしょう。死亡率は、人工呼吸器や病院がある場所を想定していますが、劣悪な医療システムの国がパンデミックに見舞われたらどうなるでしょうか。見たこともないような大惨事になりかねません。