新型コロナと闘う米医師15人の証言(下)

Photo by Noam Galai/Getty Images


ラナ・アウディッシュ医師(45歳)

ミシガン州デトロイト
(ヘンリーフォード・ヘルスシステムの肺高血圧症プログラムの所長。この病院で最初の患者を診察してから2週間以内。ウェイン郡は全米で最も被害が大きい地域の1つ)

国土の中間にいる私たちには、ニューヨークやワシントン州で起きていることを見て準備をする時間が持てたことを大変幸運だと思います。なので、まだ物資不足に直面していないと言えますし、今後必要となると思われるものを確保しようとしてきました。それでも、環境サービス職員、看護師、医師など我々の職場のあちこちで、検査で陽性の人が出てきています。私が話をした同僚は全員、いつか感染すると思っているようですが、私は、病院は安全だと感じます。

日が経つにつれ、お互いからいろいろと学んでいます。中国武漢の医師との電話会議に出席しましたが、彼らの体験からも学ぶことがありました。いろいろな意味で、彼らは私たちよりこの状況にずっとうまく対処していたことに本当に頭が下がります。彼らはここにある我々のものより良い個人保護具を持っています。医療面で遅れていると感じたのはこれが初めてです。

私たちの患者のニーズに合ったケアを提供する能力が感染拡大のペースに追い付かないことを懸念しています。それでも、医療関係者がこれほどまで前向きに自己犠牲を払っていることには驚かされます。皆、直接火事の現場へ足を踏み入れながら、それが自分自身の健康に何を意味するのかさえ考えていません。

シャリーフ・エルナハル医師(34歳)

ニュージャージー州ニューアーク
(エルナハル医師はニュージャージー州、ニューアークにある大学病院の院長CEOである。この病院はニュージャージー州北部の一次外傷センターで、複雑な救命救急診療を要する新型コロナ患者のための地域コーディネーターをしている)

私の仕事は最前線にいるスタッフに多くの物資を届けてできる限りのサポートをすることです。ここにはすでに50人の経過観察中の患者と20人の感染患者がいます。感染患者には効き目を祈りながら薬で治療をしています。患者の急増に備え、病院やキャンパスのスペース改造をどんどん進めています。例えば、歯学部は自校の臨床研修スペースを提供してくれました。

おかげさまで今のところ私自身を家族から隔離する必要は生じていませんが、機能的には今は労働時間が長すぎて家族に会うことはできていません。妻は3人目の子供の出産予定日を2日ほど過ぎており、こんな時に妻の側にいられずつらいです。

この地域は世界的に見てもパンデミックのホットスポットで、現状を大幅に上回る医療提供能力が求められます。この地域の感染者のピークは、ニューヨーク市とかなり近く、最大でも2週間ほどの遅れでピークが来ることになるでしょう。ここにはニューヨーク市にはないものがあるので、うまくいくかもしれません。ニューヨーク市よりも病院の数が多く、それらで協力して計画を立てられるという時間的有利性です。互いに協力してうまくできれば、これからやってくる患者のニーズを満たせるでしょう。

でも心配なのは、医療提供能力を高める最大限の努力をしても、足りなくなるかもしれないことです。いずれにしても最善を尽くさなければなりません。あらゆる努力をすれば患者を1人でも救えるかもしれないから。
備考:このインタビュー後、エルナハル医師の奥様は3人目を無事出産されました。
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翻訳=パラ・アルタ

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