新型コロナと闘う米医師15人の証言(上)

Photo by John Moore/Getty Images


トッド・ベント医師(53歳)

ユタ州マーレー
(インターマウンテン・ヘルスケアで感染症遠隔医療サービスを指揮。今はパンデミック対応を統括。同病院では最近、新型コロナウイルスの症状チェッカーを遠隔医療ウェブサイトに追加。ウェブサイトには80,000件以上のアクセスがあった。看護師の電話対応も増設し、全国からの問い合わせに対応。ユタ州だけで1日平均2,800件の問い合わせがある)

今や私の時間のほぼ100%が新型コロナウイルスの活動と任務に費やされています。現時点で1日の16~22時間は働いています。他の感染症の流行も経験してきましたが、西アフリカでのエボラ熱などから学んだ多くのことが今回、最初の協調努力で役立ちました。いまの段階で、ユタ州では602人が発症し、3月2週目から毎日増加しています。いまのところ物資不足はありませんが、ラボの生産量が増え、鼻腔用綿棒が一時的に足りなくなったので違う供給品で代用してこの難局を乗り越えようとしています。

この病院はすでに安定した遠隔医療構造ができていますが、複数の地域での遠隔医療利用をもっと工夫して、患者、看護師、医師、その他の医療従事者のばく露リスクを最小化しようとしています。これまで遠隔医療を経験してこなかった医師たちをすぐにトレーニングして、外来医療と新型コロナウイルスの検査と診療ができるようにし、患者が自宅外で不必要なばく露を受けることなく治療を受けられるようにしました。

これまでにも感染症の流行はありましたし、呼吸器感染を起こすウイルス性疾患がここまでの範囲になることには必ずしも驚きませんが、誤った情報がこれほど広まり、正当な公衆衛生介入を受け入れてもらえないことはショッキングで失望しています。

地域の感染拡大を防ぐため、また脆弱な患者の重症化リスクを抑えるために、政府と国民は強硬なソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)と隔離を受け入れる必要があります。そうしないと医療システムと医療従事者があまりにたくさんの患者に圧迫されます。新型コロナウイルスの負担に持ちこたえるためには、医療関係者へのリスクを最小化することが非常に重要です。

※2回目は『新型コロナと闘う米医師15人の証言(下)』

翻訳=パラ・アルタ

この記事は 「Forbes JAPAN 6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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