価値あるジュエリーについて、いま知っておくべきこと

知れば知るほど魅力が深まる、ハイジュエリーと希少宝石の世界。ダイヤモンドの市況解説を中心に、2019年に話題になったトピックスをご紹介しよう。


実はいま、ダイヤモンドは値下がり傾向にある。原石の増産が続いたことや、中国やインドの経済が減速していることで、在庫が増えているのだ。

ならばダイヤモンドは今後も値下がりし続けるのか。資源メジャーのデビアスは、2020年の採掘量を予定より1000万カラット減らして調整するという。高い調整能力は、この市場の大きな特徴だ。また、希少なブルーやピンクのダイヤモンドは、オークションでの価格が過去15年間で5倍にもなっている。長期的に見れば、ダイヤモンドはボラティリティが小さいのだ。

マサチューセッツ工科大学の研究チームによれば、地球には1000兆トン以上のダイヤモンドが埋まっているという。だがそれらは地表から200kmもの深部にあり、掘り出せない。テルアビブのファンシー・カラー・リサーチ・ファウンデーションは、世界のダイヤモンド鉱山の98%は、40~60年以内に枯渇するだろうと予測する。新たな鉱山が見つからないかぎり。

だから、できるだけ長いスパンで見ること。それが資産としてのダイヤモンドを考えるときの鍵なのだ。

DIAMONDS サザビーズが厳選するダイヤモンド


サザビーズはダイヤモンドカンサパニーのダイアコアと提携し、高品質なダイヤモンドを販売するオリジナルブランド「サザビーズ・ダイアモンド」を2005年から発表している。ダイヤモンドはどれも大粒で、最高ランクのカット、カラー、クラリティを誇るセレクションは男性たちにも人気だ。ルース(裸石)で購入できるだけでなく、ジュエリーのビスポークも可能。厳選に厳選を重ねたダイヤモンドだけに、極めつきの美しさが楽しめる。


若手デザイナー、イリアーヌ・ファタールを起用した「フライング スワロー」ネックレス。ツバメがくわえているのは20カラットのダイヤモンド。/サザビーズ・ダイアモンド(03-6457-9160)(C) Sotheby’s

MEN’S RING 紳士の手元に極上のメンズリングを


ティファニーの最高峰ラインと位置づけられる「ブルー ブック」コレクションに、男性たちのためのリングが登場した。この「シグネット リング」は、かつて紳士たちが身につけた紋章入り指輪をモダンに再解釈したもの。気品を感じさせるメンズジュエリーの登場は、うれしいかぎりだ。


「ティファニー ブルー ブック」コレクションより、ブルーとイエローの対比が際立つ「シグネット リング」。18K YG、PT、ブルーサファイア(4.05カラット)。参考商品。/ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク(0120-488-712)

SENSATIONAL DEBUT めくるめく色彩の宝石がため息を誘う


2019年、グッチが初めてのハイジュエリーコレクションを発表した。気鋭のクリエイティブディレクター、アレッサンドロ・ミケーレが、希少な宝石を思う存分に使って自らデザインしたコレクション「ホルトゥス デリキアルム」とは、ラテン語で歓喜の庭園という意味。ジュエラーの聖地、パリのヴァンドーム広場16番地に宝石箱のようなブティックもオープンし、ジュエリー界にセンセーションを巻き起こした。


「ホルトゥス デリキアルム」コレクションより、多彩なカラーストーンを印象的に配したブレスレット。おなじみのライオンヘッドがブルーグリーンオパールをくわえている。2620万円(参考価格)。/グッチ ジャパン クライアントサービス(0120-99-2177)

WATCH AWARD 2019年の最も優れたジュエリーウォッチは?


時計界のオスカーとも称されるアワード「ジュネーブ ウォッチ グランプリ」。毎年、多岐にわたる部門で審査が行われるが、2019年の ジュエリーウォッチ部門で最優秀賞に輝いたのは、ブルガリの「セルペンティ ミステリオーシ ロマーニ」。この贅沢さ、官能的な魅力、アイコニックな デザインが高く評価されての受賞だ。


文字盤を蛇の頭部に隠した「セルペンティ ミステリオーシ ロマーニ」シークレットウォッチ。大きなクッションカットのブルーサファイアは10.83カラットのセイロン産。/ブルガリ ジャパン(03-6362-0100)

EXHIBITION ミラノまで足を延ばして堪能したい展覧会


ミラノのレアーレ宮殿で、知的好奇心をそそる展覧会「ヴァンクリーフ&アーペル:時、自然、愛」が開催中だ。1906年に創業されたこのメゾンの美意識を物語る400点以上のジュエリーや時計、工芸品が並ぶ充実の内容で、ジュエリー史に残る名品が数々展示されている。王侯貴族や大富豪、スターたちによるオーダーメイドの並はずれた豪華さに、息を呑むこと間違いなし。会期は2020年2月23日まで。


エジプト王国最後の王の娘、ファウジア王女の旧蔵品「ピヴォワンヌ」クリップ。100カラットものルビーをミステリーセットし、芍薬の花を表現。1937年制作。/Palazzo Reale https://www.palazzorealemilano.it

CLOSING SOON ピンクダイヤモンドの主要な鉱山が枯渇


世界のピンクダイヤモンドの90%を産出する鉱山が、まもなく枯渇する。資源メジャー、リオ・ティントが所有するオーストラリアのアーガイル鉱山は、小粒のピンクやブラウンを豊富に産出してきたが、2020年に閉山を迎えるのだ。この供給源の終焉は、今後ハイジュエリーのデザインにも少なからず影響を与えるだろう。


2019年にアーガイル鉱山で採れた原石のうち、最も優れた6個のダイヤモンド。右端は1.75カラットの希少なファンシーレッドダイヤモンドだ。/Argyle Pink Diamonds https://argylepinkdiamonds.com.au (C) Rio Tinto

text and edit by Keiko Homma

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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