新型コロナウイルス感染症、アフリカ系米国人に最も深刻な被害

シカゴのローリ・ライトフット(Lori Lightfoot)市長(Chris Sweda/Chicago Tribune/Tribune News Service via Getty Images)

本稿公開時点(4月7日)のジョンズ・ホプキンス大学の集計結果によれば、米国の新型コロナウイルスへの感染者数は約37万人に達し、死者は1万1000人近くに上っている。

米国の複数の州や都市の統計では、新型コロナウイルスがとりわけアフリカ系の人たちに深刻な被害をもたらしている状況が見え始めている。イリノイ州シカゴが発表した統計値によれば、アフリカ系米国人は、シカゴ人口に占める割合が30%であるにもかかわらず、シカゴにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連死者総数の69%を占めている。

米国の複数の州も、同様の「人種の偏り」を示すデータを公開している。感染者数が1万5000人を超えたルイジアナ州では、アフリカ系は州人口の32%だが、4月6日時点での感染症による死者総数の70%以上を占めている。

別の州ではそれほど極端ではないが、それでも偏りがあるのは明白だ。イリノイ州とミシガン州では、人口に占めるアフリカ系の割合はそれぞれ15%と14%だが、どちらの州でも、4月6日時点での死者総数の40%以上を占めている。

新型コロナウイルスのパンデミックは全米において、経済的な不均衡や人種による不均衡を浮き彫りにしつつある。アフリカ系コミュニティの多くはいまだに、医療サービスにアクセスしにくい状況にある。

全住民の60%近くがアフリカ系であるルイジアナ州ニューオーリンズでは、肥満、糖尿病、高血圧の割合がいずれも全米平均を上回り、それが新型コロナウイルス感染症により死亡するリスクを高めている。シカゴのアフリカ系コミュニティでも、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患を伴う基礎疾患が平均水準を上回り、いずれも広く蔓延している。

シカゴのローリ・ライトフット(Lori Lightfoot)市長は、この状況は「衝撃的」であり、「思わず息をのむ」数字だと語った。ライトフット市長は4月6日、迅速な対応が求められていると述べ、新型コロナウイルスの影響が最も深刻なコミュニティに的を絞った積極的な公衆衛生対策を開始すると約束した。

ライトフット市長はこの計画について、以下のように訴えた。「この感染症がわれわれのコミュニティに甚大な被害をもたらすのを、何もせずに見ていることはできない。命がまぎれもない危険にさらされている」

アフリカ系住民が、州/都市人口とCOVID-19関連の死者数に占める割合(2020年4月6日現在)

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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