日本のワクチンはなぜ「ガラパゴス化」したのか。その単純な理由

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皮下注射より筋肉注射がいいのに……


日本の閉鎖的なワクチン行政には、ほかにも問題が多いのです。

例えば、化血研はB型肝炎ワクチン「ビームゲン」を製造していますが、業務停止命令や熊本地震で、一部の医療機関でその供給が遅れました。B型肝炎ワクチンは医療従事者が患者の血液から曝露を受けたとき、自らの健康をまもるための大事なツールです。しかし、化血研のワクチン供給が滞り、医療従事者の安全を保持できなくなる懸念が生じました。

幸い、海外メーカーのMSDがやはりB型肝炎ワクチン(ヘプタバックス)を提供していますから、こちらを用いるという選択肢が残っていました。

ビームゲンが不測の事態で供給が途絶えた場合、ヘプタバックスを使ってそのリスクを回避できます。ヘプタバックスの供給が何らかの理由で途絶えた場合は、その逆の策を取ることができます。

国内メーカーにこだわりすぎず、海外という「別の選択肢」を持っていたほうが、災害その他の問題が生じたとき、リスクヘッジは容易になります。それが、日本国民の国益に合致しているのはいうまでもありません。

それに、海外メーカーとの競合があれば、日本のワクチン事情の「ガラパゴス化」の改善が促されます。例えば、日本のワクチンはほとんどが皮下注射ですが、副作用や効果の観点からは筋肉注射のほうが合理的なことが多いです。

海外のワクチンを導入すれば、「海外では筋注が普通」という常識が国内でも働きます。そういう「常識」を知らないと、いつまでも日本の事情だけに固執する、ガラパゴス化が起き、それも国民の健康という国益に反する結果をもたらします。

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