目立った買い占めなども起きておらず、人々は粛々と自粛活動を行っている。「自粛」といっても国によって違いがある。デンマークのそれは、事態がより深刻なイタリヤやスペインなどの南欧諸国と比べると、それほどまでに厳しいものでもなく、2mという一定のソーシャル・ディスタンスを置けば、10人程度まで、屋外で集まることも可能となっている。
しかし、それはあくまで最大限可能ということで、そんなに多くの人が集まっているのを見たことはない。長い冬を抜け、空が明るくなりだしたこの時期のコペンハーゲンには、太陽を浴びようとする人々が一定の距離を保ちながら、その光を楽しんでいる。
市内から北に抜ける大通りにある橋もほとんど人がいない状況。普段ならば多くの人でにぎわっている
環境問題はまだ何も変わっていない
国民全体が協力して行った4週間の自粛活動が功をさし、まだまだ油断は出来ないが、新型コロナウイルスによる医療崩壊という最大の危機は免れた模様である。先日行われたフレデリクセン首相の会見によると、イースター明け(4月15日以降)から自粛活動が段階的に解除されていくようだ。
そんなデンマークでは現在、コロナ後にどのように再度社会を再建していくのか多くの議論が行われてる。
以前は多く語られていた地球温暖化などの環境問題は、コロナウイルスとの戦いによって鳴りを潜めてしまったが、まだ何も解決したわけではない。デンマークは2030年までに、1990年と比較して二酸化炭素の排出量を70%下げるという高い目標を掲げてる。この目標を達成するのには、今まで通りの削減では達成できない。あと10年しかないのである。スピードと革新的なアイデアが必要不可欠とされている。
Grøn genstart、グリーンリスタート
デンマークは、コロナが収束したのち戦後最大ともいわれる経済危機に直面していかなければならない。
今後社会を段階的に回復させていく中で、今まで通りのビジネスに再度戻してから環境問題を考えるには、あまりに多くの時間と予算が無駄になってしまう。先程も述べたように、あと10年しかないのである。
デンマークでは、このコロナショックを利用して、さらに環境への対策を考えながら、社会を再構築していく方法が提案されている。この再スタートさせる方法はデンマーク語では「Grøn genstart(直訳すると、グリーン リスタート)」と呼ばれている。