絵本のタイトルは「Learn about the coronavirus(コロナウイルスについて学ぼう)」。当初は同病院で治療を受けている小児がん患者の子供たちのために作成されたものだが、現在は病院のウェブサイトから誰でも無料でダウンロードできるようになっている。
心理学が専門のクリスティン・カナベラ博士は、「現時点では不確実なことや不安に思えることが多く、急激な変化も続いている。そのため子供たちがいま起きていることを理解し、適応するのを助けるためのリソースを提供したいと考えた」と話す。
博士らはもともと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について子供に教えたいと考える患者の親たちのために、資料を作成する予定だった。だが、子供たちに直接、情報を提供することも必要だと考え、方針を変更したという。
カナベラ博士らのチームはそのほか、小学生向けのアクティビティブックも用意した。COVID-19の症状や、どのように感染するかなど、このウイルスについてのより詳しい説明や、学習のためのワードパズルなども掲載している。
さらに、10代から20代前半までの成人向けにも冊子を作成中だ。よくある誤解を解くための説明や、友人たちと会えないこと、卒業式など人生の節目になるイベントに出席できないことなど、この年代に特有の問題を解決するためのヒントを提供したい考えだという。
パンデミックの精神的影響を懸念
カナベラ博士によれば、幼い子どもたちは遊びを通して学ぶことで、最もよく理解できることが多い。そのため、インタラクティブな活動や塗り絵などは、私たちが現在直面している変化を子供たちに理解してもらうための素晴らしい方法だという。
世界中で数多くの学校が休校措置を取っている現在、子供たちの日常生活には、かなりの混乱が生じている。専門家らはパンデミックが子供のメンタルヘルスに与える影響に注意を払うよう呼びかけており、世界保健機関(WHO)もまた、子供たちがパンデミックから受けるストレスに対応するのを助けるためのガイドラインを公表している。
「COVID-19はすべての人たちを不安にさせている。恐ろしいものであり、子供たちにとっては理解するのも難しい」と話すカナベラ博士は、塗り絵本について次のように述べている。
「子供たちがCOVID-19をよりよく理解し、自分たちが感じている恐怖について、信頼できる周囲の大人と話し合うことを後押しするものになればと願っている」
「子供たちと親たちがCOVID-19に関して持つ誤解の解消に役立てばと思っている。恐怖を感じる対象についてよりよく理解することが、不安の軽減につながる場合もある」
塗り絵本は10ページからなり、子供たちと親、医療スタッフ、そしてアニメのキャラクターのように描かれた新型コロナウイルスが登場する。現在のところは、英語とスペイン語、アラビア語で提供されている。
セントジュードは750冊を印刷し、病院内で子供たちに配布。その後、不安が広がる状況を背景に、より多くの人たちに提供することを決定した。