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2020.04.15 10:00

新型コロナウイルス後の世界を予想する(2):世界は閉ざされるか、開かれるか

この記事は新型コロナウイルスに関するシリーズの一部です。

世界はいま複雑に繋がり、影響し合っています。新型コロナウイルスが唐突なかたちで教えてくれたように、武漢で起きたことはたった数か月で世界中の人々に影響を与える可能性があります。その原因は、第二次世界大戦後にはじまり、冷戦終結後の90年代に加速したグローバル化です。

多くの点で、グローバル化はポジティブな推進力として働いてきました。グローバル時代が到来して以来、何十億もの人々が極度の貧困から救われ、世界中がより裕福になりました。また、グローバル規模の貿易や政治的な同盟によって、以前と比べて国と国の間の依存関係が深まり、お互いに大きな紛争を回避するようになりました。経済も各国間で極めて密接に連動するようになり、コスト面において戦争はリスクが高すぎるものになりました。このような相互依存が、世界平和に最も貢献している要因であると言えるでしょう。

しかし、新型コロナウイルスによって、多くの国境は完全に閉ざされました。日本では、世界のおよそ3分の1に相当する73か国からの入国を拒否しています。このような極端な措置は一時的なものではありますが、今後起こり得ることの象徴として見ることもできます。

新型コロナウイルス後の世界では、私たちはグローバル化についてどう考えるようになるでしょうか?輸入が世界的な出来事にどれほど影響を受けるのかを見た後、サプライチェーンについてどう考えるようになるでしょうか?中国の一都市からはじまったウイルスが、世界中に急速に広がるのを見て、国境の管理についてどう考えるようになるでしょうか?

ベルリンの壁の崩壊やリーマンショックがそうであったように、このパンデミックは社会システムに対する「ショック」であり、広範囲にわたり影響を及ぼす可能性があります。問題は、この新型コロナウイルスによって世界が閉鎖的で保護主義的な方向へ進むのか、それとも以前に増してオープンで協力的になるのかということです。

グローバル化のおかげで、企業は製造を世界各国へ委託できるようになり、商品を世界中から調達できるようになりました。そして、必要なときに必要なだけの製品を、より低価格で提供できるようになりました。このようなシステムは世界が安定しているときには上手く機能しますが、新型コロナウイルスの件でわかったように、余剰のないシステムは非常時においてリスクをもたらします。

現在の危機的状況から回復する段階になったとき、グローバル化に対する人々の見方が変わる可能性があります。企業は、支出が多くなるとしても、より強靭かつ国内のウェイトが大きいサプライチェーンを選ぶようになるかもしれません。もしかしたら政府さえも介入し、重要であると判断した産業に対して国内のバックアップ・プランや備蓄を作るように命令するかもしれません。利益は犠牲になるかもしれませんが、安定感が得られるでしょう。
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