ビジネス

2020.04.15

新型コロナウイルス後の世界を予想する(2):世界は閉ざされるか、開かれるか


このようなトレンドによって、国内の製造およびサプライチェーンのインフラに関連するテクノロジーが大きく発展する可能性があります。サプライチェーンを国内へシフトするために企業が奔走し、対費用効果の高い方法を探す中で、ロボット、オートメーション、3Dプリンティングなどが今よりはるかに多くの企業に採用されるようになるかもしれません。

これまで変化を拒んできたようなレガシー業界も、デジタル・トランスフォーメーションの波に乗るほかなくなるかもしれません。リーマンショックの後、新しい規制により銀行は今までより多くの資本バッファーを備えておくことを求められるようになりましたが、今後は医薬品や医療機器、主食となる作物を供給する企業も似たような規制の対象になるかもしれません。そして、危機的状況に備えて重要な物資を備蓄するための、革新的な保管システムの需要が高まる可能性があります。

また、国境管理の強化を求める声も高まるかもしれません。9・11テロの後、世界の焦点はテロリズムとの戦いでした。新型コロナウイルスの後は、おそらく危険な病原体との戦いが焦点になるでしょう。空港で広く導入されている発熱検査はそのまま残るでしょうし、ここ最近の飛行機や空港での厳格な消毒作業も引き続き行われる可能性が高いです。

乗客全員にヘッドホンが配られているように、今後は全員にマスクが配られるようになるかもしれません。コロナウイルスから社会が回復する中、より強固な検知システムや封じ込めシステムに対する需要がいまだかつてないほど高まるでしょう。

一方で、もう1つの考え方として、新型コロナウイルスを私たちの共通の敵として見ることもできます。民族や国籍に関係なく人々を襲うコロナウイルスを経験することで、私たちは自分たちが人類という1つの集団であることを認識しました。

そして、病原体、テクノロジー、気候変動などのシステミック・リスクの多くは、全人類に影響を及ぼすということを学びました。もしかしたら、私たちが早い段階でもっと協力して動くことができていれば、コロナウイルスの脅威をずっと早く封じ込めることができたかもしれません。

もし世界中で規制、検知システム、情報やコンティンジェンシー・プランを共有することができていれば、失われた命や経済的ダメージも今より少なくて済んだはずです。ある意味、新型コロナウイルスは私たち人類に対して、ともに助け合い、より効率的に協力し合えるようなイノベーションを探すようにと、警鐘を鳴らしているのかもしれません。

21世紀における危機は、その広がりだけでなく、影響においてもグローバルです。詩人のジョン・ダンが言ったように、「人は孤島のようには生きられない」のです。例え地理的に海に囲まれていたとしても、国だって同じです。共通の敵を通して、私たちはコンティンジェンシー・プランの重要性を再認識できたかもしれませんが、それに留まらず、ともに協力してグローバル危機に立ち向かうことは、お互いの主義主張などよりも大事であるということを学べたのではないかと、私は期待しています。

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