テクノロジー

2020.04.14 11:00

アップルがワイヤレス充電AirPowerの開発を再開、A11チップ採用で

EugeneEdge / Shutterstock.com

アップルが一度は断念したワイヤレス充電マット「AirPower」の開発を再開し、プロトタイプを作成中だとするレポートが公開された。iPhoneやAirPods用ケースがワイヤレス充電対応になる中、AirPowerは2017年秋に発表されて大きな期待を集めた。

AirPowerは当時、iPhone 8とiPhone Xのワイヤレス充電対応に合わせ、3つのデバイスを同時に充電できる製品とされていた。しかし、AirPowerはリリースされることはなく、アップルは2019年にプロジェクトの中止を発表した。

しかし、その後も同社がAirPowerの開発を継続しているという噂は絶えず、ユーチューバーのJon Prosserも最新動画でそのことに触れている。Prosserは、アップルの社内外に豊富な人脈を持ち、ツイッターやユーチューブチャンネル「Front Page Tech」で同社の新製品に関する噂やスクープを発信している。

そのProsserは、最新ツイートの中で次のように述べ、AirPowerの復活を報じた。「自宅でテレワークをしているアップルの“Sharing and Proximity”チームのエンジニアたちに、“C68”と呼ばれる製品のプロトタイプが届けられた。C68はA11プロセッサを搭載した次世代製品で、エンジニアたちは過熱の防止に取り組んでいる」

Prosserが投稿したC68の画像は解像度が悪く、実体がつかめない。筆者が彼に直接質問したところ、以下のような返答があった。

「私が投稿した画像は、C68の実用試作機だ。充電ケーブルが上部ではなく右側にあることから、オリジナルのAirPowerのプロトタイプとは異なることがわかる。画像提供者を守るため、解像度を意図的に落としている」

ここでまず、オリジナルのAirPowerが失敗に終わった理由をおさらいしておこう。アップルウォッチの充電はiPhoneとは仕組みが異なり、充電ケーブルのへこんでいる面にアップルウォッチの背面が吸着するようになっている。

このため、Prosserによると一般的なQi対応充電器では充電できず、より多くのエネルギーが必要になるのだという。この課題は充電回路を重ねることで解決できるが、マットにアップルウォッチが載っているときにオーバーヒートしてしまい、発火する恐れがある。

最新情報によると、アップルはC68にA11プロセッサを搭載することで、熱の制御に成功したという。A11の正式名称は「A11 Bionic」で、iPhoneでは「X」や「8」、「8 Plus」に搭載されているパワフルなチップだ。

A11プロセッサを搭載することで送電コイルの制御が可能になり、オーバーヒートを防止できるという。Prosserはアップルの新たな取り組みについて、「非常に画期的な技術だ」とコメントしている。

プロトタイプと最終製品とで内容が異なることは珍しくないが、この情報が事実であれば飛躍的な進化であり、とてもエキサイティングだ。筆者は新たな情報を入手し次第、改めて報告したい。

編集=上田裕資

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