ビジネス

2020.04.14

PCメーカー「Acer」が予想外の売上急回復、3月は2月の倍に

Photo by Lutsenko_Oleksandr / Shutterstock.com

世界5位のPCメーカーとして知られる台湾の「Acer(エイサー)」は今年2月、新型コロナウイルスの感染拡大により中国の工場を停止させ、月あたりの売上は前年同期比22.4%マイナスの3億7380万ドル(約400億円)だった。

中国から始まったパンデミックは、欧州や北米に拡大し、世界経済に甚大なダメージを及ぼしている。当然ながら、多くの人はAcerの売上の落ち込みが3月も続くと考えていた。

しかし、驚くべきことにAcerの3月の売上は前月から回復した。4月9日、同社が開示した3月の売上は約8億ドルで、2月の2倍以上に膨らんだ。しかも、この数値は前年同期比で2.2%のプラスとなっている。

Acerは売上拡大の原因を、人々が家で過ごす時間が増えたため、新たな需要が生まれたからだと分析した。「オンライン学習やリモートワークの推進により、ノートブックPCやクロームブック、モニターなどの需要は伸びている。当社は全力をあげて需要を満たそうとしている」と、Acerの広報担当は述べた。

台北の調査企業Market IntelligenceのアナリストのPan Chien-kuangも「感染拡大の影響で、ノートブックPCの需要が拡大した」と分析した。

Acerは長年、米国の教育現場で導入が進むクロームブック(Chromebook)の生産に注力しており、感染拡大を受けて3月は米国での売上を急拡大させた。Statistaのデータで、2019年の世界のクロームブックの出荷台数は1000万台を突破したとされており、その前年の890万台から上昇した。

Acerはサムスンと並んでこの市場に2011年に参入し、2017年には競合の富士通やレノボらを抜いて、世界1位のメーカーになった。IDCのリサーチ部門のLinn Huangは「米国の学生らがリモートで学習するようになった結果、クロームブックの売上は大幅に伸びている」と語る。

「在宅勤務向けに新たにクロームブックを購入するユーザーも増加中で、Acerはこのカテゴリの主要メーカーに成長した」
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編集=上田裕資

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