つまり、未成年者は成人よりも症状が軽い傾向があり、必ずしも成人と同じように咳や発熱などの症状が現れるわけではないようだ。それでも、入院せざるを得ない状態になったり、まれではあるが死に至ったりする可能性もあると、米疾病管理予防センター(CDC)が発行する感染症情報「Morbidity & Mortality Weekly Report」に掲載された新しい研究は警告している。
この研究結果は、新型コロナウイルスに感染した米国の未成年者2500人以上を分析して得られたデータから導き出された。研究チームは、「他者と社会的な距離を置くことと、日々の予防行動」の重要性を強調。その理由として、「軽症者と無症状者が、感染拡大において大きな役割を果たしているようだ」と述べた。
研究ではさらに、先回りして学校を閉鎖することが、社会全体の感染を減らすうえで重大な役目を果たしている可能性が示唆されている。
米国で2月12日から4月2日までに、検査で新型コロナウイルスへの感染が確認された14万9760人のうち、18歳未満が占めた割合は1.7%、患者総数は2572人だった。そのうち、3分の1はニューヨーク市、4分の1近く(23%)はニューヨーク州、15%がニュージャージー州、29%が米国の他地域の住民だ。未成年感染者の内訳を見ると、男性(57%)が女性を少し上回った。
しかし、入手できた患者に関する総合的な情報はごくわずかだ。研究者たちが知り得たのは、症状の詳細については未成年患者10人中1人分のみで、基礎疾患について何らかの情報があったのは感染者のわずか13%だった。さらに、入院の有無について確認できたのは、未成年感染者の約3分の1だけだ(言い換えれば、残り3分の2については、入院者数がわかっていない)。
研究者たちが入手できた限定的な情報をもとにすると、未成年者は症状が比較的軽く、入院リスクが低いという傾向が、再び浮かび上がってくる。
症状に関して情報を得た未成年者291人のうち、つらい咳や息切れを訴えた割合は73%だった。一方、18歳から64歳までの成人の場合は93%だ。
発熱があったのは、未成年者は56%だったが、成人は71%。咳の症状があった未成年者は半分強(54%)で、成人は80%だった。
同様に、息切れを経験した感染者についても、未成年者はごく一部(13%)だったが、成人の場合は43%に上った。
成人が訴えた軽い症状にはほかにも、筋肉痛やのどの痛み、頭痛、下痢などがあったが、未成年感染者のあいだではあまり一般的ではなかった。