新型コロナウイルス感染拡大により、米国の貧富の差は拡大する

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概要:新型コロナウイルスによる経済的ダメージが悪化の一途をたどるなか、金融機関UBSの最新調査により、消費者の貯蓄習慣の変化が、収入によって異なることが明らかになった。

この調査によれば、低収入世帯の多くが、今後3か月の収入に占める貯蓄の割合がこれまでよりも少なくなると見込んでいるのに対し、高収入世帯の3分の1近くは、これまでよりも貯蓄が増えると予想しているという。

・年収20万ドルを超える世帯の28%は、収入に占める貯蓄の割合が今後増えると予想している。
・それに対して、年収6万ドル未満の世帯の20%は、貯蓄が少なくなると予想している。
・年収10万~20万ドルの世帯のうち9%は、貯蓄が増えると回答している。6万~10万ドルの世帯は全般的に、貯蓄の額は変わらないと答えている。
・全体的にいえば、高収入世帯は、収入に占める割合という点でも、絶対額という点でも、すでに低収入世帯よりも多くを貯蓄しているとUBSは指摘している。

多くの人に影響:米国の大規模な都市封鎖によって最も大きなリスクにさらされる5つのセクターで働く米国人は2400万人を超える。(5つのセクターとは、ムーディーズ・アナリティクスの首席エコノミスト、マーク・ザンディ(Mark Zandi)が特定したもので、具体的には、採鉱/石油およびガス、交通、労働者派遣事業、旅行手配、レジャー/ホスピタリティ)

厳しいコメント:「(収入格差の縮小に関して得られていた)10年分の進歩が、1か月で消え去ってしまう可能性がある」とアトランティック誌で指摘したのは、ブルッキングス研究所のシニア・フェローを務めるマーク・ムロ(Mark Muro)だ。「サービス分野では、巨大な景気後退が起きようとしている。そして、危機にあると指摘されている1000万人以上の雇用の多くは、低賃金や低利益の職、あるいはチップに頼っている職業だ」

重要な背景:ドナルド・トランプ大統領が3月27日に署名した、歴史的な2兆ドル規模の経済救済対策「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES法)」には、失業給付を拡大するための包括的な条項が含まれている。

この法律では、打撃を受ける中小企業向けの融資に3490億ドルが割り振られ、ほとんどの国民に1200ドルの直接給付金が支給される。ゴールドマン・サックスのエコノミストによれば、連邦政府はさらに少なくとも1つの経済支援策を成立させると見込まれるという。この支援策では、失業給付金がさらに拡大するほか、国民一人ひとりに対する直接給付金の再支給も盛り込まれる可能性がある。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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