世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版


支援の背景に欠かせないもうひとつのポイント、食業界にもテクノロジーの必然


2014年に麻布十番に誕生した1号店。カスタムサラダ専門店は当時まだ珍しく、その注目度もあって最初の月商は予定の5倍にもなった。ビジネスの成功を予感させるものではあったが、宮野の捉え方は違った。

「目指すべきは、ワクワクするような体験と、つながりを生む場所です」という宮野は、来店客の数よりも、十分な接客とつながりを持つことを優先したかった。そのために6年間で14店舗まで増やすと同時に、テクノロジーの導入に注力した。

オンラインで注文してもらい店舗で受け取る。今でこそいくつかの大型チェーンで導入が進むが、インディペンデントで店舗数も多くない企業としては、思い切った決断だ。この仕組みを整えることで、行列に待ってもらうこともなく、また、過去の注文履歴から好みも理解でき、初めて会った人でもより良い接客ができるようになる。飲食店においてテクノロジーの導入は必要だと宮野は考える。

クリスプのアプリの写真
分かりやすくクールなデザインのクリスプアプリは客からの評価が高い

「日本の外食業界は、店舗数×売上=企業価値になりがちです。バリュエーションがないため、市場から外食に未来がないとみられがち。ですが、世界の外食業界に目を向けると、ユニコーンとして活躍する企業が増えています。日本の外食業界の価値をあげるために、我々は自社にエンジニアを抱え、自分たちで開発をし、つながりを作るのです」

飲食店の課題を解決するためにカチリをたちあげキャッシュレスのモバイル注文ソリューション「PLATFORM」作り上げた。店頭でメニューを決める従来のオーダースタイルを、事前のキャッシュレス決済へと変化させたことで「飲食×テクノロジー」の新たなムーブメントを生み出すのだ。

「外食業界は、コロナ騒動の以前には戻らない前提で考えています。変わっていくしかないんです。そのためにテクノロジーが必要ですし、今後、CTOがいる外食企業が当たり前になるかもしれません。ですが、テクノロジーはあくまで方法の一つ。なによりも、お店が好きで、食が好きで、仲間が好きであること。そこが大前提にあるからこそ、いいお店をつくることに全力でアクセルを踏めるのだと思います」

CTOのいる外食企業は、今後、スタンダードになるかもしれない。しかし、それは「お店が好きだ」というマインドがないと、ただの方法論でおわる。「テクノロジーとマインドのダブルスタンダード」が、アフターコロナのキーワードになるかもしれない。

最後に、寄付したあと同社から送られてくるサンクスメッセージを引用しておく。この取り組み限らず、今だからこそ私たちすべての人が共感する熱意ではないだろうか。

「みんなが無理せずに、できる範囲で誰かに対してできることをして、そんな小さな輪が大きくなって日本各地で誰かが誰かを支援するような世界になったら本当に素敵だと考えています」

 

文=上沼祐樹 編集=坂元耕二

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい