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宮野は高校生の時に米国に移り住んでいる。そして「9.11」を体験した。あまりに衝撃的な事態の中、見渡すと人々が当たり前のように手を取り合って、目の前の問題をクリアしていく様子があった。最前線で対応する警察官や消防署員、医療従事者をフォローしようと地域の人が動く。彼らのために無償でなにかを提供することを目の当たりにした。有事の際は自然発生的に “善意の輪”をつくるのだ。この原風景が今の宮野を動かしている。

善意の輪は外食産業においても、皆が勇気を持つきっかけになるという。

「私は本当に外食産業が好きなんです。その大好きな世界が、いま自粛することで雰囲気が沈んでいる。『自分たちは必要とされていないじゃないか』と考える人がいてもおかしくない。でも、こうやって何かできることを実際にやってみる、今まで支えてくれたお客さんとコミュニケーションをとることで、お互いの活力になる。私の場合は、それが医療従事者への支援だった。誰にとっても大変な時期なので、一人でも多くの人が温かい気持ちをもってもらいたいんです」

「CRISP CONNECT」という仕組みが、輪を拡大し補強する


サラダの無償提供は4月6日、同社のアプリからのアクセスを終了し「CRISP CONNECT」というかたちに進化した。

無償提供が始まった際にこの活動をサポートしたいと申し出る人が多く集まった。そして「実際、私自身もデリバリーしています」という宮野だが、同社のメンバーだけではそもそも限界がある。そのため、医療従事者・病院勤務者を支援するためのコミュニティとして「CRISP CONNECT」を立ち上げたのだ。

これは大きく2つの柱から成る。「寄付」と「バックアップ」だ。

クリスプの無償提供のみであった支援から寄付を土台とする。そしてデリバリーというロジスティクスの面を、ボランティアという形でバックアップする。ボランティアは同社のスラックをオープンな場として開放し募る。現在でも多くの書き込みとともに支援の手が挙がっている。

クリスプコネクトの画面
CRISP CONNECTの支援画面はシンプル。寄付項目と、スラックで形成されるボランティア募集だ。寄付金は100%支援にあてられるという。

医療従事者向けの購入画面
サラダを希望する医療従事者は、専用の申し込みページから依頼する。同社HPや代表宮野のnote、メルマガなど広く告知している。(https://crispsalad.typeform.com/to/FKQXG2

宮野は言う。

「ひとつ重要な要素として、支援いただいた方には、できるだけコメントを入れてもらうようにしています。これは医療従事者の方に応援メッセージとして届き、承認いただければツイッターに反映することもできます。支援というのは、物理的なバックアップのほかに、心のつながりがとても力になるんです。記される応援の言葉がどれほど勇気づけられるか…。これはとても大事なことなんです」


クリスプコネクトのツィッター画面
ツイッターには多くの支援コメントが並ぶ。

クリスプサラダワークスは、こうした思いを大事にしてきた。同社のHPはスタッフと客のコミュニケーションが最良の空間を作ることをよく表しており、サラダの説明よりも多いくらいだ。

文=上沼祐樹 編集=坂元耕二

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