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2015.04.09 16:40

イギリス・企業と大学のラボが一体化した新拠点「産業地区2.0」/ヨーロッパ4カ国4賢人が披露する「地域活性化の叡智」(3)

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LISA DE PROPRIS Birmingham Business School
バーミンガム・ビジネススクール リサ・デ・プロプリス教授
『製造業が大きく変わる時代。第三次産業化しています』


プロプリス教授は1年前から日産の電気自動車「リーフ」に乗っているそうだ。排ガスによる大気汚染がないため、税金の優遇を受けられる利点がある。イギリスで電気自動車はまだ多数派ではない。ハイブリッドカーに向かうのか、電気自動車や水素自動車に向かうのか。“交差点”で判断を誤れば、メーカーは巨額の開発投資を無駄にすることとなる。

「インターネットが発明されてから誰もが使うようになるまで、25年という大きな時差がありました。この時差を短くするためには、大学の研究室が技術の触媒となって企業と結びつく必要があります。企業の製造部門と大学のラボが別々に開発を進めるのではなく、産業地区と大学がピッタリ一体化してイノベーションを発揮するべきなのです」

 モノ作りとサービスの融合が進み、いわば製造業は第三次産業化している。イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国が製造業に変革をもたらし、グローバル経済の中で勝ち抜いていくためには、既存の産業地区から一歩先へ進化した「産業地区2.0」の構築が必要だとプロプリス教授は強調する。

「製造部門とイノベーションが産業地区2.0で手を携えていけば、製品の付加価値をこれまでとは比べものにならないほど高めることができるでしょう。肘掛けイスを購入する人は、イスという物だけでなく、デザインやブランドといった無形の価値にお金を払います。産業地区2.0では、高度な知識と技術が企業.大学の垣根を越えて価値創造文化を生み出します」

 3Dプリンターの登場によって、製造業の概念は根本的にひっくり返ろうとしている。遺伝子工学の研究が進むにつれて、製薬や医療機器の世界ではこれから思いもよらぬ大変革が起きるだろう。

「自動車、製薬、化学、グリーンエコノミーやグリーンエネルギーなど、すべての産業で新しい技術が生まれています。過去の歴史を振り返ると、鉄道や電気など50年周期で技術のパラダイムは変わってきました。これからの世界経済は、5年、10年という短いスパンで変遷していきます。産業地区2.0でイノベーションの扉を開放し、ローカルなものをグローバルに結びつけて価値を創造していける時代が訪れました」

文=荒井香織

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