日本の美意識を反映した、コンバーチブル──レクサス

Lexus LC

モノ消費からコト消費へと、時代が求める概念とマッチするのが、GT(グランド・ツーリング)という概念だ。クルマで長距離を移動し、旅の目的地でのレジャーだけでなく、クラス感のある移動を愉しむためにクルマを使う。荷物も詰めるGTカーを持っているから移動したくなる。5G環境での自動運転や渋滞予測といった技術もGTの普及の後押しとなる。


LEXUS Lexus LC

レクサスがひとつの壁を打ち破った。それが2017年発表のレクサスLCだ。

エレガントさとスポーティさが上手にバランスされた比較的大型のボディと、大排気量エンジンと、そしてスポーツカーのようにドライブが楽しめる操縦性。みごとな出来なのだ。

ひとつ欠けているものがあったとしたら、フルオープンボディの設定だった。このクラスのクルマだと、主な市場の米国をはじめ欧州でも、コンバーチブルが好まれる傾向にある。

ゆえに、ブランドの存在感という意味でも、ユーザーに負けず劣らず、レクサス自身がオープンモデルをラインナップに加えたかったはずだ。

19年11月に米ロサンゼルスで開催されたオートショーで、ついにLCコンバーチブルがお披露目された。美しいシルエットのソフトトップを備えているだけではない。ぬかりなく“レクサスらしいなあ”と感じさせる機能が盛り込まれている。

オープン化に合わせての重量バランスの見直しとリヤボディ新設計をはじめとした高剛性化、ドライバーの走りに合わせて駆動系の最適制御、室内の音のチューニング、季節やルーフの開閉状況に応じた空調管理といったものが盛り込まれている。

4層構造のソフトトップは、障子やふすまの開閉マナーを参考に、開きはじめと閉じる直前はゆっくりと品よく動くようにしたという。それもこのモデルにしかない価値だろう。

インテリアのデザインでも、欧州の競合車とはまたひと味違う個性があるのも好ましい。

もしも、SUVとスポーツカーの2台持ちの夢が叶うなら、先般マイナーチェンジのあったSUVのRXと、LCというのが理想の組み合わせだと思っていた。そこにLCコンバーチブルが登場したので、選択は悩ましくなった。

日本での発売は2020年夏ごろをレクサスでは予定している。長い距離を走ってバカンスに出かけるのが楽しみとなるようなクルマだ。

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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