中国企業の不正会計が続出、オンライン教育TALも株価急落

Photo by Spencer Platt/Getty Images

米国で上場する中国の大手企業らに、相次いで不正会計スキャンダルが浮上している。先日は、コーヒーチェーン大手の「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」の不正会計問題が発覚したが、オンライン教育大手の「TAL(好未来教育集団)」も、同様な問題に直面している。

ニューヨーク市場に上場するTALは4月7日、社員が取引先と共謀し、売上高を水増ししていたことを明らかにした。これにより、TALの株価は9日までの2日間で約9%の下落となり、同社を率いるビリオネアのZhang Bangxinの保有資産8億7800万ドル(約950億円)が消し飛んだ。

TALによると問題の社員は、同社の年間売上の3〜4%を占める、ライトクラスと呼ばれる小学生向けコースを担当しており、現在は警察に身柄を拘束されているという。

TALの不正発覚の数日前の4月2日には、スターバックスの中国での競合に浮上したラッキンコーヒーが、昨年の売上を3億ドル以上水増ししたと発表し、その翌日の株価は75.6%安の急落となった。アナリストの間からは、今後、中国企業の信頼度が著しく低下するとの見方があがっている。

上海交通大学のZhu Ning教授は、「売上を急拡大した中国企業への信頼度は、大幅に低下した」と述べる。

Dealogicのデータによると、現在、米国での上場を目指している中国企業は15社に及び、1000万ドルから1億2500万ドルの調達を計画中という。Zhuは今後、これらの企業が厳しい当局の監査に直面し、上場を果たしたとしても望むような規模の調達は果たせないと予想する。

香港の資産運用会社Adamas Asset ManagementのBrock Silversは、今後はさらに多くの中国企業の不正会計疑惑が持ち上がると予測する。

「中国での不正会計問題のベースには、ここ数年、中国企業に対する投資額が収益を上回っていたことがあげられる。その結果、達成不可能な計画を立てる企業が続出した」

さらに、4月8日には動画ストリーミングサービスを運営する「iQiyi(愛奇芸)」にも不正会計疑惑が指摘された。しかし、米国の投資会社Wolfpack Researchが、iQiyiが売上高と会員数を水増ししていると指摘したのに対し、iQiyiはこの疑惑を否定している。

ニューヨークの会計会社MarcumBP共同会長のDrew Bernsteinは、米国の議員らが今後、中国企業への締め付けを強化すると述べている。中国政府は国家の安全保障上の問題を理由に、米国の上場企業会計監視委員会(PCAOB)による中国企業の監査を拒否してきた。

米国議会は昨年6月、米国で上場した中国企業らに会計報告書の提出を義務付ける法律を導入した。ラッキンコーヒーの不正会計問題を受けて、中国の証券監督管理委員会も、このような不正を厳しく取り締まるスタンスを明確にした。

Bernsteinは、「米国で上場済みの中国企業らが上場廃止に追い込まれる可能性は低い」としつつも、今後はより一層厳しい目が中国企業に注がれると述べた。

編集=上田裕資

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