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2020.04.16

新型コロナウイルス感染拡大が日本人の消費行動に及ぼす影響

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野村総合研究所(NRI)では定期的に新型コロナウイルス対策に関する提言を発信している。同社の調査によるデータとともに3月31日に発信された内容を紹介する(以下、NRIグループ 新型コロナウイルス対策緊急提言より転載)。

要旨


・NRIは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、消費者の生活に与える影響を把握することを目的として、2020年3月に日本人約3000人を対象に緊急インターネット調査を実施した。

・今年の景気や株価については8割近くの人々が悪化/下落すると考え、家庭の収入見通しについては、5割近くの人々が下落するだろうと予想している。これらの数値は昨年末時点の調査から大幅に拡大している。

・新型コロナウイルス感染拡大後、生活必需品についてお店に買い物に行く頻度は減少するも、買いだめ行為やインターネットでの購入が増えていることから、生活必需品に限れば、短期的に支出は増えている可能性が高い。

・政府はキャッシュレス決済情報を業態別、都道府県別などの単位で定期的に集計・公表すべきである。キャッシュレス決済情報を活用すれば、消費がどの分野、どの地域でどのくらい落ち込んでいるのかをほぼリアルタイムで把握できることから、アンケート調査から把握できる行動変化情報などとあわせて、政策立案者や企業経営者らにとっての有益な情報源となる。

8割の人が今後の景気悪化を予想


NRIは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、消費者の行動や心理状態に与える影響を把握することを目的として、2020年3月に日本人約3000人を対象に緊急インターネット調査を実施した。

我々が同1月に実施した日常生活に関するインターネット調査と比較すると、今回の緊急調査では、自分や配偶者、子供、親など家族の健康に関する不安や、伝染病に対する生活者の不安感が確実に高まっている。また、収入や資産価値の低下、税金、社会保険料の増加、社会保障制度の破たんについても不安と答えた人の比率が高く、先行きの見えない不安感が高まっている(図1)。

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また、今後の景気について「悪くなる」と考える人は、2019年の年末時点では47%だったのに対し、今回の調査(2020年3月)では82%に大きく増えている。また株価についても、下がると考える人は2019年年末では36%であったのが、2020年3月では77%に増加している。家庭の収入も今後下がると考えている人が50%を超えているが、景気や株価ほどの落ち込みはないともいえる(図2)。

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