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Witthaya Prasongsin/Getty Images

キャッシュレス、仮想通貨、ソーシャルレンディングなどに代表されるように、世の中の「お金」の概念が変革の時を迎えている。これらは近年、AI、ブロックチェーンなどのテクノロジー技術を活用した「Fintech(フィンテック)」という新しい金融サービスを指す。

フィンテックのサービス及び提供企業の事例や、市場の現況について解説していく。

フィンテックとは金融とITテクノロジーを融合させた金融サービス


「Fintech(フィンテック)」とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語。2000年頃から、金融機関を中心に使われ始めた言葉であり、08年のリーマンショック以降、未曾有の金融危機に備えるため、AIやビックデータ、ブロックチェーンなどの技術をもとに新しい金融サービスを始めるベンチャー企業が勃興している。

現在、多種多様な金融サービスが展開されており、その領域は11のジャンルにまで広がっている。

フィンテックは、現金に変わる新しい通貨や決済手段の多様化、資産形成の効率化など世の中を変革する可能性を秘めているのだ。

フィンテックの5ジャンルと代表的なサービス


フィンテックは以下11のジャンルに大別される。

1. スマートペイメント
2. 仮想通貨
3. 投資・資産運用・ロボアドバイザー
4. クラウドファンディング
5. ソーシャルレンディング
6. 融資
7. 法人向けサポート
8. PFM(個人資産管理)
9. 送金・割り勘
10. 保険
11. 金融情報

ここでは、社会に大きな影響を与えたキャッシュレスや、現金に代わるものとして期待される仮想通貨、インターネットを介して不特定多数の支援者から資金を調達するクラウドファンディングなどに該当する、1〜5のジャンルを紹介する。

スマートペイメント


スマートペイメントとは電子マネーやQR決済、スマホ決済など、現金を伴わないオンライン決済全体を指す言葉。キャッシュレス社会が進む中、今フィンテックの中でも注目度の高いジャンルだ。

代表的な企業では、電子マネーだと「SUICA」(JR東日本)「PASMO」(パスモ)、モバイルOSでは「Apple Pay」(アップル)や「Google Pay」(グーグル)、QR決済は「PayPay」(PayPay)や「LINE Pay」(LINE)、「メルペイ」(メルペイ)、「楽天ペイ」(楽天)、中国の企業では「Alipay」(アリババ)、「WeChat pay」(テンセント)など多くの企業がスマートペイメントに注力している。

仮想通貨(暗号資産)


2009年に生まれたビットコイン(BTC)以後、仮想通貨取引所やウォレットアプリケーションなどの仮想通貨関連事業を行うベンチャー企業が相次いで誕生し、一時は仮想通貨バブルと言われるほど市場が活性化した。

18年の価格が下落して以降、ブーム自体は下火となってはいるものの、今後5Gやブロックチェーン技術の進展により、再び市場が活況となる可能性は十分にある。

国内の仮想通貨取引所では「bitFlyer」(bitFlyer)や「Coincheck」(コインチェック)、「GMOコイン」(GMO)、「DMM Bitcoin」(DMM)が挙げられる。

仮想通貨の代表格で言えばビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)であり、これから注目される仮想通貨は「Libra」(Facebook)だろう。

投資・資産運用・ロボアドバイザー


資産運用領域においても、フィンテックの活用は急速に進む。

株式投資や証券投資では、ビッグデータやAIを活用した分析やトレンド予測が行われ、資産運用のアドバイスやポートフォリオ作成はロボットに一任できる「ロボアドバイザー」の需要も高まっている。

自ら投資先を選び、資産運用を行う「テーマ投資」のサービスでは「FOLIO」(FOLIO)や「DMM株」(DMM FinTech)。ロボアドバイザーに運用を任せるタイプでは「WealthNavi」(ウェルスナビ)や「THEO」(お金のデザイン)、「FOLIO おまかせ投資」(FOLIO)などが存在する。

クラウドファンディング


実現したいアイデアやプロジェクトを持つ人や企業が、インターネット上で資金を募り、資金調達を行う方法。リーマンショック以降、海外では「Indiegogo」や「Kickstarter」が設立されたことにより、クラウドファンディングの認知度が世界中に広まった。

不特定多数の人から「共感」を集め、夢の実現へ向けた新しい挑戦の仕組みとして、新商品のテストマーケティングや地方創生、店舗開業など様々な用途でクラウドファンディングが行われている。

代表的な日本のクラウドファンディングサイトでは、「CAMPFIRE」(キャンプファイヤー)や「Makuake」(マクアケ)、「READYFOR」(レディーフォー)、「GREEN FUNDING」(CCC)といったものが挙げられる。

ソーシャルレンディング


ソーシャルレンディングは、お金を「借りたい人」と「投資したい人」をプラットフォーム上でマッチングさせるサービスだ。貸付型や有志型のクラウドファンディングとも言われている。

金融機関を介さず、インターネット上から不特定多数の出資者を募る仕組みで、借り手側企業にとっては資金調達を早めたり、金融機関よりも低金利で融資を受けられたりするメリットがある。

貸し手側の投資家も高利回りが期待でき、ソーシャルレンディング投資の注目が高まっている。「SBIソーシャルレンディング」(SBI)、「Funds」(クラウドポート)、「クラウドバンク」(日本クラウド証券)などのサービスが存在する。

また、法人向けサポートでは経理や会計などに代表されるバックオフィス業務を効率化し、煩雑な作業を減らすことができる。「freee」(フリー)、「MFクラウド」(マネーフォワード)、「ジョブカン」(Donuts)、「Dr.経費精算」(ベアテイル)はこの領域を牽引する企業だ。

PFM(個人資産管理)は、個人の入出金情報を一元管理するサービスで「Moneytree」(マネーツリー)や家計簿アプリの「Money Forward」(マネーフォワード)が有名だ。

送金・割り勘といったお金のやりとりができるサービスも登場している。送金では「Kyash」(キャッシュ)や「pring」(プリン)といったサービスが挙げられ、「LINE pay」(LINE)では割り勘機能による新しいスマホ決済体験を提供している。

保険の領域では、スマホで保険申し込みを行え、サービスを教授できる「スマホ保険」(justInCase)が代表格となっている。

金融情報のみならず、決算データや企業情報をプラットフォームとして提供する「SPEEDA」(ユーザーベース)は業界や市場分析に役立つサービスだ。

フィンテックは、もはやこれなくしては便利な生活できないほど、世の中に欠かせない存在となっている。

文=古田島 大介

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