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2020.04.13 20:00

世界のSAKEシーンを牽引する「獺祭」

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19年度の日本酒の海外輸出総額は234億円を超えた。内33億円が「獺祭」だと聞けば、海外市場で「Dassai」がいかに大きな存在か、おのずと想像できるというものだ。

「90年代から00年代、郷里の山口県では地元の競合、他地域からの流入に完全に売り負けており、活路を求めた先が東京。地縁でなく商品そのものの魅力を重視する東京市場で戦うなかで品質という武器が磨かれ、その成功体験の延長にNYや香港、台湾、そしてパリがありました」

18年には、フランス料理の神と称されたシェフ、故ジョエル・ロブション氏とコラボレーションし、パリに食の複合施設を出店した。


パリの中心、フォーブル・サントノレ通り沿いにある「Dassaï Joël Robuchon」は「獺祭」を使用したスイーツなどを販売するパティスリー(1F)、カフェ&ティーサロン(2F)、レストラン(3F)を擁する複合施設。

「『獺祭』を飲んだロブション氏が『和食より俺が作る料理のほうが合うね』と口説いてくれまして。フレンチと『獺祭』のペアリングは日本料理や日本文化に興味のない人にもいいきっかけを与えてくれる機会となっています」 また今夏には米NYに自社の酒蔵を建設。新ブランド「Dassai Blue」を育てていく予定だ。


21年に竣工予定の旭酒造NY酒蔵は、The Culinary Institute of America大学(通称CIA)と提携したプロジェクト。

「世界最大の料理大学であるCulinary Institute of Americaに招聘されたことがきっかけですが、パリのお店と同様に国境・文化・言語の壁を越え、SAKEと世界の食がともにある新しい食文化を築きます。そしてこれを同大学から世界中に波及させるという挑戦です」

海外でSAKE人気が高まっていると報道される一方、その認知度、販売数はまだまだ小さく、ブームといえる状態ではないと冷静に分析もしている。「世界中の食のシーンで、SAKEが普通に目にされる事が将来像。我々は想い、品質、本質的なおいしさという力により、SAKEの世界を広げていきます」

旭酒造には「獺祭 磨き その先へ」という最高峰の純米大吟醸酒があるが、まさに常に「その先」を見据える桜井氏にいま、どんな世界が見えているのだろう。


桜井一宏/旭酒造代表取締役社長

text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN 4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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