まず、チェックインからチェックアウトまで客と従業員の接触が一切なくなるようにした。サービスは「デジタル執事」が担い、宿泊客はルームサービスの食事を電子機器で注文し、部屋に届けてもらうか、プライベートシェフを呼び出すことができる。あるいは食料品の配送サービスも利用でき、多くの人が現在経験している食料品配送での遅延もない。
同社を経営するヒュブナー夫妻によると、現在の利用者の半分が立ち往生した観光客で、平均滞在期間は2週間~2カ月という。アパート内の設備が充実しているため、客は外出する必要がほとんどない。特に予約が多い都市は、チューリヒ、ルツェルン、ツークだ。
他にも、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に合わせて追加されたサービスがある。提携するヘルスケア企業ダブル・チェックの医療サービスが24時間利用可能で、感染が心配な場合は500ドル(約5万4000円)で通院することなくアパート内でウイルス検査を受けられる。もちろん、客のチェックアウト後には徹底的な清掃が実施される。宿泊客に緊急医療サービスが必要となった場合、付近の病院への移動が手配可能。ホテルは全て市街地にあり、すぐ近くに医療施設がある。
この立地は、医療施設で働く人にとっても利点となる。ヒュブナー夫妻はスイスの企業や医療保険会社、政府や資産家に対し、アパートでの宿泊を数日分予約して、患者の治療に当たる医療関係者に寄付するよう提案している。夫のアレクサンダー・ヒュブナーは最初の寄付分として、自身の報酬を返上するという。