日本ではまだ馴染みのないブランドだが、創業は2009年。海外の企業とパートナーシップを結んで本格的に展開するのは日本が初めてで、日本進出を手がけるのは、アパレル大手の三陽商会だ。
ECOALFの特徴は、全ての商品を再生資源や環境負荷の少ない素材のみで製造していること。しかし、世界全体の温室効果ガスの10%を排出していると言われているファッション業界において、サステナビリティを軸として世界展開していくことなど可能なのだろうか。
良くも悪くも世界の繋がりを強く感じる昨今。地球を考えることは他人事ではない。新型コロナウイルスで苦境を強いられているアパレル業界だが、サステナブルブランドとしてのビジョンをどう描いているのだろう。
三陽商会ECOALF企画課長の下川雅敏、ECOALFの日本でのブランディングに携わるThe Breakthrough Company GOのクリエイティブディレクター砥川直大、そして管理栄養士、ヨガトレーナーとしてホリスティックな生き方を提案するMOTHER代表の岡清華の対談をお届けする。
──ECOALFの製品の特徴について教えて下さい。
下川:ECOALFは、これまで300種類以上のリサイクル素材を自ら開発しています。さらにパートナーと手を組むことで計画的にサステナブルな素材を製造する仕組みができあがっており、エコ循環型のサプライチェーンが確立しているんです。
また、漁網やプラスチックなど廃材を生かしたリサイクル商品が中心ですが、ECOALFでは自分たちで廃材を集めているので原材料調達のコストを大幅に削減できています。それが結果として商品を手に取りやすい価格にもつながっています。
──ブランド自ら引き揚げた海洋ゴミで製品を作り、さらにその売り上げを海洋ゴミ清掃の資金にする、UPCYCLING THE OCEANSという活動を行っていますね。日本でのこの活動の反響はいかがですか。
ECOALF本国スペインでは2015年からUTOの取り組みが始まり、今では40以上の漁港と協力しスペインの海岸線全体にまで活動範囲が広がっている。タイではエコアルフ財団の協力の下、PTTグローバルケミカルおよびタイ国政府観光庁と共同で活動を行っている。
下川:すでにいくつかの漁港やサプライヤーと準備を進めています。僕たちもすごく驚いているのですが、メディアでこの取り組みについて発表すると、漁港や行政の方々など本当に多くの方からご連絡を頂きました。
砥川:社会全体で、多くの人がそもそも生産過程でゴミがたくさん出るのはおかしいという意識をもつようになっています。スペインのECOALFで働いてる人の中にはファストファッションの世界から移行してきた人たちも多い。こういう意識や取り組みが当たり前の世界になっていくと思います。