株式市場にコロナ危機が訪れた3月23日以降、フェラーリの株価は21%以上の上昇となっている。4月10日現在157ドル付近で取引されている同社の株価は、ここ1週間ほどで13%以上も上昇した。
一方で大手自動車メーカー各社の株価は、パンデミックによる需要の減少に直面し、大きく値を下げている。米国のフォードやGMの株価は年初来でそれぞれ43%と36%の下落となった。それに対し、フェラーリは年初来で7%以下の下落にとどまっている。
JPモルガンのアナリストのRyan Brinkmanは、フェラーリが強固な財政基盤を持つラグジュアリーカーメーカーとして優位に立っていると説明する。
フェラーリは過去数年の間、スポーツカーの好調な売上と富裕層からの強力な支持を受け、高い利益率をキープしてきていた。「同社の車両への需要は、供給を上回っている。顧客らは納車まで1年以上も待たされる場合もある」とBrinkmanは指摘する。
フェラーリは車両の大半を、顧客から前払金を受けて生産しており、工場が一時的に閉鎖されたとしても、売上に及ぼす影響を抑えられる。
モルガン・スタンレーのAdam Jonasは「フェラーリは、同社の車両の需要は底堅く、パンデミックに起因する受注のキャンセルは起きていないと述べた」と話す。Jonasはフェラーリ株を「買い」評価とし、「先行きが見えない2020年の株式市場において、安定的なリターンをもたらす」と述べた。
投資銀行Banca IMIのアナリストのMonico Bosioは、フェラーリの株価が今後さらに上昇し、182ドル付近まで値を上げると予測する。「フェラーリは困難な状況下においても、堅調な需要に支えられ、今後も高い収益性を維持していく」と、彼女は述べた。
フェラーリの現オーナーのピエロ・フェラーリの保有資産を、フォーブスは34億ドル(3680億円)と試算している。彼の父のエンツォ・フェラーリは1939年に同社を立ち上げた。
ブルームバーグのデータで、ウォールストリートのアナリストの大半が、フェラーリの株価見通しに強気だ。「買い」評価が16、「ホールド」が5であるのに対し、「売り」はわずか2となっている。
一方で、欧州や米国の各都市がロックダウンに踏み切ったことにより、フェラーリは4月から5月にかけてサプライチェーンの問題に遭遇するかもしれない。Banca IMIは、同社の納車台数がダメージを受ける可能性を指摘した。