ビジネス

2020.04.13 08:00

ユニコーンでなく「ラクダ」として歩める環境を──Coral Capitalが追加投資ファンドを設立

追加投資ファンドを設立したCoral Capitalのメンバー

突如、世界中を襲った新型コロナウイルス感染症の感染拡大──“コロナショック”とも呼ばれる未曾有の危機によって、いま世界的な景気後退が懸念されている。

新型コロナウイルス感染症によって影響を受ける業界として飲食業界、イベント業界、旅行業界が取り沙汰されるが、スタートアップ業界も例外ではない。ここ数年、国内の資金調達環境は右肩上がりで伸び続けていたこともあり、スタートアップは資金調達がしやすい状況にあったが、今回のコロナショックにより、資金調達は難しくなるだろう。

その結果、有望なスタートアップでも資金繰りに行き詰まり、倒産せざるを得ないケースが多数出てくるかもしれない。そうした事態を避けるべく、グロービス・キャピタル・パートナーズが40億円規模の追加投資を行う5号Sファンドを設立した。

その流れに続き、独立系ベンチャーキャピタルのCoral Capitalは4月13日、既存投資先スタートアップへの追加投資専用のグロースファンドを設立したことを明かした。既存LPの国内大手機関投資家および事業会社を中心に約27億円で一次募集を完了。運用総額が約150億円になったことも併せて発表された。

今回のグロースファンド組成によって、これまで1社あたり数億円までとしていた追加投資枠を最大15億円にまで拡大。また、資金提供以外にも、4月23日にオンライン版スタートアップキャリアイベント「Startup Aquarium Online」を開催し、スタートアップの採用支援も強化していくという。

スタートアップと伴走し、困難な時代を乗り切る


Coral Capitalはシード・アーリーステージに特化したベンチャーキャピタルとして、これまで60社以上に投資を実施。資金調達や採用、広報やビジネス開発の支援を積極的に行ってきた実績を持つ。

同社にとって、“追加投資”に関する取り組みは初めてではなく、創業パートナー兼CEOのJames Rineyは「既存投資家からの追加投資はスタートアップが大きくなる過程で非常に大きな役割を担っている」とし、これまでもファンド総額の半分以上を追加投資枠に充ててきた、とのこと。

実際、2018年1月に既存投資先であるSmartHRのシリーズBラウンドの全額となる15億円の専用ファンド(SPV)を設立して投資実行したほか、その後のシリーズCラウンドでは専用ファンドを20億円に増額し、さらに追加投資を行ってきた。
次ページ > ユニコーンから、ラクダへ

文=新國翔大

ForbesBrandVoice

人気記事