ビジネス

2020.04.12 07:00

リモートワーク浸透で売上4倍増、中国新興テック企業の勢い

Chaay_Tee / shutterstock.com


加速するリモートワーク市場


「顧客企業の一部は、マスクを製造する工場だった。彼らは遠く離れた製造現場に向かい、工場の稼働状況をチェックすることが不可能になったため、当社のソフトを使い始めた」とZhouは話した。
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上海本拠のGobi Partnersのアナリストは、「自宅待機命令がきっかけでオンラインの業務ツールを使い始めた利用者らは、その便利さを実感し、ウイルスの脅威が去った後も、それらを使い続ける」と話す。音声アシスタントや、署名ツールなど業務関連のデジタルツールの導入は加速しているという。

「デジタル化された製品のプロトタイプをオンラインで確認するほうが、遠隔地に足を運ぶよりも効率的であることに人々はようやく気づいた」とGobi Partnersのアナリストは話した。

しかし、中国企業がフルスケールでデジタルツールを導入し、セールスフォースのような巨大企業が誕生するまでにはまだ時間がかかると話す投資家もいる。中国では企業間の格差が大きく、スタートアップの成長に必要な標準化された環境や、ベンチャーキャピタルがまとまった資金を投入すべきプラットフォームが存在しない。
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さらに、中国の新興テクノロジー企業の多くが、無料もしくはディスカウントで初期の顧客を集めようとする傾向も、投資の回収を困難にしている。

ただし、希望も見えている。上海本拠のベンチャーキャピタルQiming Venture Partnersの担当者は、近年の中国企業は必要なツールに費用を惜しまない傾向を強め、パンデミックが生産性管理ツールのメリットを認識させたと話した。

Black Lake TechnologiesのZhouも、同じ見方だ。「スタートアップ企業は、顧客らに新たなテクノロジーがもたらすメリットを明確に提示していく必要がある。コンサルタント的なポジションにとどまらず、顧客により近い場所からプロダクトの魅力を伝授していく必要がある」と、Zhouは続けた。

編集=上田裕資

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