ビジネス

2020.04.12

リモートワーク浸透で売上4倍増、中国新興テック企業の勢い

Chaay_Tee / shutterstock.com

中国企業は、新型コロナウイルスの感染拡大によるダメージから徐々に回復しつつある。上海本拠の人事マネージメントソフトウェア企業XinTaiRuanの取締役を務めるLi Zhaojunは既に、以前と変わらぬ1日16時間勤務を復活させた。

XinTaiRuanのソフトの需要は、ここ数カ月で4倍以上に伸びている。感染拡大を受けて、中国政府が発した自宅待機命令は、同社のクラウドベースのソフトの導入率を高めた。管理職クラスはリモートワークを行う社員らを監視し、給与計算や当局への提出書類の作成に役立てている。

Liのチームは現在、社員数を以前から50%増の150人に拡大し、捌ききれない業務に対処しようとしている。現在30歳の彼は、「かつては顧客企業にオンライン化のメリットを説明する必要があったが、新型コロナウイルスのおかげで、顧客が自らオンライン化を進めるようになった」と話す。

中国企業のビデオ会議向けソフトや、クラウド系ソフトの需要はここ最近、一気に高まった。感染拡大を受けて、工場やオフィスが閉鎖されたことにより、これらのツールを敬遠していた人々も、活用せざるをえなくなったのだ。

テクノロジー分野の起業家や投資家らは今、分裂状態にあった中国のエンタープライズ向けのサービスが、ギアを一段加速させ、統合化に向かい始めたと考えている。北京の投資会社China Creation Ventures創業者のZhou Weiは、「パンデミックが人々の行動を変え、企業の在り方を一変させた」と語る。

アリババのDingTalkやテンセントのMeetingなどの業務コミュニケーションアプリが普及する一方で、中小企業の間では新たな生産性向上ツールの導入が進んでいる。賃金が比較的安い中国において、費用がかさむこれらのツールの導入はこれまで進んでいなかった。

中国のGDPの60%以上を生み出す中小企業の間では、米国でのセールスフォースに相当する、標準化されたエンタープライズ向けソフトが存在しなかった。IBMやオラクルなどの米国企業のソフトも利用可能ではあったが、それらは一部の大企業を顧客とするものだった。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大がこの状況を一変させた。中小企業向けにクラウドソフトを提供するBlack Lake Technologiesを立ち上げた30歳の起業家、Zhou Yuxiangは、感染拡大を受けて一気に売上を伸ばしたと語る。中小の工場が在庫管理やデータ分析に用いる同社のソフトの需要は、今年2月に予想外の上昇となったという。
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編集=上田裕資

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