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2020.04.10 17:00

「給料前借り」で米国民を支援するフィンテック企業の試み

(C) Chime

(C) Chime

米国政府は来週から、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を抑えるための景気刺激策の一貫として、国民一人当たり最大1200ドルを支給しようとしている。しかし、サンフランシスコ本拠のデジタル銀行「チャイム(Chime)」は、これに先手を打つ形で、10万人のユーザーに200ドルの前借り金をオファーする動きに出た。
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これによりチャイムは、家賃や光熱費の支払いに苦慮し、一刻も早く現金を入手したい人たちを支援する。同社は米国で最も評価額が高いデジタル銀行で、直近では60億ドル(約6500億円)の評価額で7億ドルをベンチャーキャピタルから調達していた。

チャイムの利用者数は昨年末時点で推定330万人とされていた。今回の前借り金プログラムへの参加にあたっては、チャイムを給与の支払先として利用していることが必須となる。さらに、過去34日以内に250ドル以上の給与支払いを受けていることが条件だ。

同社は以前から、前借り枠を用意していたが、これまでは最低500ドル以上の給与支払いを受けていることが条件だった。チャイムはこの条件を250ドルに引き下げ、感染拡大の影響で賃金が減少した人々を救おうとしている。
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また、前借りを受けられるユーザーは、2019年度の税金の還付請求を提出済みで、払い戻しをチャイムのアカウントで受けた者に限定される。チャイムは、これらの条件を満たすユーザーの中から10万人をランダムに抽出し、前借り枠をオファーする。

これらの基準を設けることで、チャイムは、非会員が前借り金を目当てにアカウントを作ることを防止し、ある程度のリスクを回避しようとしている。しかし、利用者に支払われる200ドルは、法的には貸付金として認められず、返済が滞ってもチャイム側に督促する手段はない。さらに、チャイムは返済遅延を信用情報機関に報告しないという。

つまり、チャイムは合計で2000万ドル(約22億円)に達する資金を、リスクをとりつつ貸し出すことになる。チャイムはこれまでSpotMeと呼ばれる前借りサービスで、45ドルから100ドル程度を貸し出してきたが、今回のプログラムでその枠を2倍に拡大することになる。

「当社がリスクを抱えることになることは、もちろん承知している。しかし、これは計算の上で受け入れを決定したリスクだ」とブリットは話した。

チャイムはこれまでのところ、感染拡大による経済的ダメージを被っておらず、「先週も新規で5人か6人の社員を採用した」という。「3月は一年を通じて、最も決済ボリュームが高まり、売上を伸ばせる月だ」とブリットは話した。チャイムの昨年の売上は、2億ドルを突破したとみられている。

編集=上田裕資

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