正直だと思われるために人がうそをつく可能性 新調査で明らかに

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正直に見えるようにうそをつく、と言うと詐欺師やペテン師のやることに聞こえるかもしれないが、多くの人がそうしている可能性がある。そして、その理由は非道なものではない。

ヘブライ大学やシカゴ大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)が行なった新たな研究によると、人は仕事で非常に良い結果を出した際、正直だと思われるようにうそをつく可能性があり、うそをつかなければ弊害が生じるだろうと考えていることが分かっている。実はそれは、正しいことかもしれない。

研究の著者らは論文で、「私たちの発見からは、人は非常に好ましい結果が出た場合、他の人に疑わしいと思われることを予測することが示唆されている。そのため、真実を述べて自己中心的なうそつきだと思われるよりも、うそをついて正直だと思われることを好むと考えられる」と述べた。同論文は、米心理学誌の実験心理学ジャーナル:一般(Journal of Experimental Psychology:General)に先日発表されたものだ。

チームは、弁護士を対象としてある実験を行った。チームは実験で各参加者に、顧客への法律案件の見積もりを60〜90時間で与えていた場合の架空のシナリオを読ませた。実験に参加した弁護士の半分は90時間使い切ったとされたが、残りの半分は60時間しか費やさなかったとされた。

弁護士に、顧客に対して何時間分の費用を請求するかと尋ねたところ、90時間かけたことになっているグループの18%は実際よりも少ない時間数の分を請求すると答え、その平均は88時間だった。理由を尋ねると、より多くの報酬を得るためにうそをついていると思われたくないという答えが最も多かった。

しかし弁護士らは、自分をより有能に見せたいという理由で費やした時間を偽った可能性もある。(費やした時間が少ないことは、仕事にたけていることを意味する可能性がある)。そのため著者らは、うそをつくことが能力とは何の関係も持たない他のシナリオを複数作成した。

一つの実験では、研究者らは大学生に、授業助手(TA)が学生の成績を見られないためいくつかの課題の成績を自己申告しなければならない状況を想像させた。実験の参加者は2つのグループに分けられ、一つのグループの成績は平均レベルだったが、もう一つのグループの成績は全体的に素晴らしいものとされた。学生はそれから、TAに対し成績をどのように自己申告するかを尋ねられた。
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翻訳・編集=出田静

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