四国アイランド・リーグの新たな取り組み
こちらも実はプロ野球と地方局が新しい取り組みを始めている。
プロ野球と言ってもセ・パ12球団ではない、四国アイランド・リーグだ。小さなリーグゆえ12球団ほど潤沢な予算はない。それでも「地元のチームを応援したい」「試合を見たい」というファンは、野球どころの四国では東京で想像するよりはるかに多い。
そこで、やはり限られた予算で苦心している地方局は、試合中継のうちバッテリー間の映像だけをテレビカメラで撮影。ネット裏、一塁側、三塁側からは観客を含めたスマホのカメラで撮影し、スマホ映像で中継を補完、多アングルをスイッチングすることで、バラエティ溢れる映像を制作し、試合中継を行った。予算に苦慮する地方局だからこそ、あえて挑戦できたソリューションだ。
このソリューションは、大規模スポーツ・イベントでも有益だろう。
既存の放映権を死守すれば、時代に遅れる
ここでインターネットの黎明期を振り返ってみよう。
旧メディア、つまり新聞、テレビ、雑誌、ラジオの広告を販売することでビジネスモデルを構築してきた広告代理店は、インターネット到来時、これを旧メディアの敵とみなし、各種の権利を譲渡しないよう抗って来た。特に大手広告代理店は旧メディアの既得権を死守すべく、デジタル・メディアを排除しようとさえしていた。
例えば、電通は新聞やテレビではその広告を寡占するほどの影響力を誇ってきたが、長らくデジタル・メディアを排除する方向性を捨てることができず、デジタル・メディア広告領域で出遅れた大きな要因のひとつとなった。サイバーエージェントやオプトなどの台頭を招き、デジタル領域での影響力を盤石にすることができなかった。
これと同様、広告代理店が既存の放映権を死守すべく、UGC配信権を締め出しに動くようでは、時代の隆盛にまたも遅れを取る要因となるだろう。率先しUGC配信権の確立に乗り出し、新しいデジタル・ビジネスを創造できるのか、代理店経営陣の審美眼が試される。